雛の敬語を無くす練習は失敗に終わった。かなり手強い…。
だけど一つ分かったこともあって、それは雛も敬語を言ってしまう自分自身に悩んでいるということ。それは嬉しい。ついでに俺に申し訳ないと思っているらしい。別れたいなんて思ってるわけないのにさ、雛は別れたいなら別れるって言うんだ。しかも半泣きで。まぁ、雛らしいっちゃらしいよね。
そんなわけで俺は考えた。
「雛、いい事思いついた」
「え?」
「雛が敬語を直せて、俺も得するいい事思いついたよ」
「本当ですか!?」
「うんっ、てまた敬語使ってるよ」
「あ…」
「まぁいいや」
「…」
俺はションボリした雛に笑顔を向けた。
「ペナルティーを設けよう」
言うと雛は顔を上げる。
「ペナルティー?」
「うん」
俺は説明する。
「雛が言う敬語と団長を、今から俺がカウントしていきます」
「うんうん」
「カウントが5に達したら、」
「達したら?」
「ペナルティー」
「…」
雛は少し不安そうな顔をしたが、
「…分かった」
意を決したように頷いた。俺はニヤリ。
「今の言葉忘れないでよ」
「…うん」
「じゃあスタート」
「…」
「…」
「…ところでペナルティーって…?」
雛がとても不安そうなので、俺は優しく微笑んでやる。
「大丈夫、簡単なことだから」
「簡単なこと?」
「うん、キス1回」
「ええ゛っ!!」
途端に少し頬を染めて一歩下がる雛。おずおずと口を開く。
「…あ…えと…ほっぺ…に?」
「あっはは、そんなわけないでしょ、マウス トゥ マウスだね」
「…無理です」
「あっ、今敬語使った!はいカウント1ね」
「ひぃっ!」
雛の顔がさらに赤くなって、
「だ、団長!!ちょっと待って!」
「待った無し!団長って言ったね?カウント2」
「待って下さい!!」
「カウント3、いいの?もうカウント3だよ、あと2回でペナルティーだよ」
「…ううっ」
「ものすごーくディープなのしちゃうぞ」
「…っ」
「雛窒息しちゃうかもねー」
「…」
うっすらと雛の瞳が潤っていく。
あらら、ちょっと苛めすぎ?でもまぁいっか、俺楽しいし。そう思った瞬間、
「団長の嘘つきー!!」
雛が叫んだ。
…カウント4
「嘘つき?何で?」
「気長に待つとか言っておきながら、コレってかなり強引じゃないですかぁー!!」
カウント5
…ニヤリ
「ペナルティー発生ー!」
「えっ、ええ゛!!」
「ズズイッといってみよう」
イヤーと顔を真っ赤にして逃げて行くのを追いかける。
きっとすぐに捕まえられるだろう。
気長に待つ…
その思いに嘘はないよ。
ペナルティーの内容を、一発ヤらせろにしなかったんだもん。俺の優しさだよ。
まぁ、そんなペナルティーにしたら、1日に何度もヤることになって、雛壊れちゃうかもだしね。
最初の目的は?
三次元少女の敬語を無くすことだったはず…
二次元兎は完全に忘れていた
20090331白椿
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