「ピョン子ー勝負しよー」

「なんのっすかー?」

「今日はちょっと頑張ったんだよ」


そう言うと神威団長は大きなボックスを見せた。


「なんですか?」

「俺が作ったんだよ。今日は借り物競走ね」

「おー」


どうやらボックスにいろんな物を書いた紙が入っているらしい。その中から一枚ひいて早く持ってきた方の勝ち。


「よーいドンで一斉に紙をひくんだよ」

「分かりました!」

「早くこのボックスの所に物を持って来た方の勝ちね」

「絶対に負けませんよ!!」

「負けた方は一週間勝った方の奴隷」

「よっしゃ!」


絶対に団長を奴隷にしてやるぞ!!
神威団長がニコニコしながら口を開く。


「いちについてー」

「…」

「よーい」

「…」

「ドン!!」


素早く紙を一枚取り出して開く、


"阿伏兎のゴールデンなボール"


一瞬固まった。


おーのぉぉぉうっっ!!!
しまった!!コレ神威団長が作ったんだってことのリスクを考えてなかった!!!
ちくしょー!!あたしまだ未経験なのに!!純粋乙女なのにぃ!!まさかこれを理由に拝むことになるなんてぇえ!!


「仕方ない!!」


とりあえず阿伏兎さんとこ行って相談すりゃいい!!動かなくちゃ負ける!!と一歩踏み出したところで、


ドンッ!!!


「たっ!!」

「つっかまぁえた!」


神威団長に床に叩き付けられた。打ち付けた背中の痛さに悶えながら見上げるとニコニコな団長と天井。もの凄い嬉しそうな顔をしていらっしゃる。あたしの額を冷や汗がつたう。


「も、もしや…!」


団長の借り物はあたしだったのだろうか…!だとしたらすでに負け確定だ!!


「どうやら俺の勝ちだね」


団長が紙をヒラヒラさせる。


"ピョン子の処女"


「なっ!」


なぁんじゃそりゃぁああ!!


「仕方ないからここでヤるね」

「仕方なくない道徳がない非常識変態離れろ!!団長それ借りるモンじゃねーです!!完全に奪おうとしてんじゃないですかぁ!!!」

「だってピョン子の奴隷になるのイヤなんだもん」

「あたしこそヤられるのイヤですぅ!!!」

「まぁまぁいつもなんやかんやでピョン子は逃げるの上手いからさぁ、ちょうど良い機会だよ」

「全然良くないです!!」

「まだ俺たち一回もシたことないんだよ?ピョン子が春雨に入団してもう3年くらいは経つよね?全く、俺としたことが…!!」


何を嘆いていらっしゃる!?意味が分からん!!だからあたしは今日もなんやかんやで逃げる方法を必死に考えるのです。





借り物競走

紙に君の名前が見えた時の興奮





20090907白椿

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