「夢子さんどこの高校受けるんですか?」
「んー竜持と同じとこ。桃山東」
「えっ」
「ん?」
「高校浪人だなんてシャレになりませんよ……?」
「なんで落ちる前提なの」
「説明しないとわかりませんか?だからお馬鹿さんなんですよ、夢子さんは」
「私が受けるのは普通科だもん。竜持の受ける特進クラスとは偏差値全然違うから」
「ま、そうだとは思ってましたけど」
「……受かるかなあ?」
「神のみぞ知るというやつです」
「……勉強しよう」
「……夢子さんは」
「ん?」
「凰壮くんと同じ学校行かないんですね?」
「あー」
「まあ、進路ですしね」
「……」
「……なんですか?」
「そりゃあ……凰壮と同じ学校、行きたかった」
「行きたかったんですか」
「けど」
「けど?」
「凰壮の受けるところ、部活動盛んなんだもん」
「……はい?」
「だからね、運動できる人が多いと、私みたいなやつは運動会とか球技大会とか、肩身狭いでしょ?マラソン大会なんて、女子でも七キロ走るんだよ?無理無理」
「……まあ、無理そうですね。夢子さんには」
「でしょう?その点、進学のことを考えると、こっちの学校は頭がいいって有名だし」
「特進クラスが、ね」
「制服だって可愛いし。私ブレザーに憧れてたんだ」
「……さいで」
「家からだってすっごい近いし」
「はあ」
「だから……」
「……」
「……家隣だし」
「……」
「いつでも、会えるし」
「ですねー」
「学校くらい、違ったって……変わらないもん」
「……」
「……」
「そんな顔するくらいなら同じ学校行けばいいのに」
「……そうしたらもっと後悔する」
「運動音痴だから?」
「……人の後ろくっついて進路決めることに。虎太なんて、やりたいことやるために一人でスペインまで行ってて……私は、特にやりたいこともなくて、正直、高校だって、どこだって同じだし。でも、だからって開き直って、誰かの進路なぞるのは、もっと置いてかれる気がして」
「自覚できてるんなら、別にいいんじゃあないですか」
「……」
「……はあ。学校間の距離なんて、日本とスペインに比べたら円周率丸暗記するより大したことないですよ」
「……フ、円周率覚えるのは結構大したことだと思う」
「フフ、まあ夢子さんのおつむじゃ、そうでしょうねえ」
「ただいまー」
「あ」
「お帰りなさい、凰壮くん」
「なに、また夢子きてんの」
「ま、また来て悪いの……」
「悪いなんて言ってねーじゃん」
「ふーん……」
プルルル。プルルル。
「あ、電話。僕出てきますね」
「おー」
「んー」
「……」
「……」
「お前さ、進路調査票出した?」
「……んー、一応」
「どこ?」
「桃山東」
「えっ」
「ん?」
「お前……高校浪人なんてシャレに」
「もうそのボケはやったから」
「誰がボケた」
「大丈夫だよ、普通科だし……たぶん」
「……本当に大丈夫かよ」
「……あんまり」
「馬鹿なんだから勉強しろよ」
「んー」
「夢子?」
「凰壮さー」
「なんだよ?」
「また家来てもいい?」
「?今来てるじゃん」
「今、じゃなくて。……高校あがっても」
「なんだよ、いきなり」
「だって……」
「好きにすればいーじゃん」
「好きにしていいの?」
「了解とる必要ないだろ、今更」
「……うん」
「?」
「変わらないかなー」
「なにが」
「……通う学校、変わっても、今まで通り、こうやって凰壮と話せるかな」
「はあ?なんだそれ」
「だって、違う学校通ったことなんて、今までなかったし」
「学校ぐらいでなんだよ」
「……」
「……変わらないものなんてないだろ。虎太だって家飛び出してスペイン行ってるし、俺と竜持だって、サッカーやめちまったしなあ。これからも今までと全く同じに、なんてことあり得ねえだろ」
「……」
「……でも」
「……?」
「お前に対して思ってることは、たぶん、変わんないと思う」
「……思ってること?」
「馬鹿で鈍間でわかりやすくて、ウジウジしてて心配性の人見知りで」
「ちょっと」
「からかうとすぐムキになる」
「むっ」
「扱いやすいやつ」
「……」
「それでいいんじゃね?」
「……うん」
「調子戻った?」
「……笑ってないでよ」
「笑ってねーよ。フ」
「笑ってんじゃん」
「フフ、拗ねるなよ」
「……」
「なんだよ」
「それだけ?」
「は?」
「もっと他にないの?私に思ってること。褒め言葉が一つもなかったじゃんか。可愛いとか優しいとか」
「マジで言ってんのかよ。誰が可愛くって優しいって?」
「失礼な!」
「まあ、そうだなー。強いて言うなら」
「え?う、うん……」
「……む」
「凰壮くん、夢子さん、虎太くんから電話ですけど代わります?」
「!」
「!」
「……?どうしました?」
「あ、ああ、いや、代わる代わる」
「はい」
「サンキュー。もしもし?虎太」
「……」
「……何話してたんですか」
「べ、べつに!」
「ふーん?」
「……竜持」
「はい?」
「受験勉強、頑張るから、今度数学教えてね?」
「真面目にやるなら、見てやってもいいですけど」
「うん。頑張る」




うたうさま
初めまして、ナコといいます!
この度は企画へのご参加ありがとうございました!
リクエスト内容のほうが学校違う理由かいつから好きなのか〜だったのですが、
いつから好きなのか〜は次あたりに書く予定でしたので、進路の方を書かせていただきました!
どうだったでしょうか…?
会話文のみになってしまって申し訳ありません><
でも書いててすごく楽しかったですし、こういう形だとテンポがよくていいなあと個人的に勝手に思ってます…^^
感想もありがとうございました!わかります、凰壮くんって本当かっこいいですよね。書ききれないくらい!
お気遣いありがとうございます!地道に頑張っていきます!
これからもうたうさまに楽しんでいただけるように!
リクエスト、ありがとうございました!^^
(2013.06.16)

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