プルルルル。プルルルル。プルルルル。プルル、ガチャ。

「……」
「……竜持?」
「……はい」
「あーもうびっくりしたー。返事ないから繋がってないのかと思った」
「何か用ですか?」
「あれ?なにか怒ってる?」
「怒ってません。僕もうこれから寝るんです。要件なら手短に」
「えっと、あのね、お誕生日おめでとう」
「……」
「あれ?どうしたの?」
「今何時ですか?」
「え?」
「いま。夢子さんの時計は何時ですか?」
「えーと、二十三時五十六分かな!」
「そうですね、僕の時計もです」
「うん?」
「僕の誕生日、もう終わりますけど」
「そうだね」
「そうだね、じゃないですよ。忘れてたのかなんなのか知りませんけどね。こんな終わり際に言われたって」
「だって、一番に祝うのもいいと思ったんだけどさあ、それじゃあ竜持にありきたりだって馬鹿にされるかなあって」
「……」
「だからあ、一番最後に祝おうと思ったの」
「最後?」
「うん、今日の誕生日、私の『おめでとう』で締めくくられるんだよ」
「……」
「あれ?嬉しくない?」
「……僕は、好きな食べ物は最初に食べる派です」
「私は最後かなー」
「……今日は、ちょっと機嫌悪かったんですけどね、夢子さんがスルーするから」
「ごめんね?」
「……まあ、終わりよければ全て良しです」
「そっか」
「はい」
「実はねー、今家の前にいるんだけど」
「は」
「家抜け出してきちゃった」
「何してるんですか」
「えへへ」
「はあ、今から下行くんで、待っててください」
「うん」
「ほんと、終わりよければ、ですね」

ガチャン。ツーツーツー。



(2013.05.23)

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