長い長い一年が巡ってまた同じ季節がやってきた。

一年が三百六十五日なんて誰が決めたか分からないが、その日を待ちわびる私にとっては途方もなく長い時間でおばあちゃんになってしまうのではないかと一瞬懸念したけれども、どれほど長く感じたところで結局三百六十五日とはつまり一年なので私がおばあちゃんになってしまうなんてことは当然なく、私は一つだけ歳をとり十歳になっていた。

夏休みも残り二週間を切った。今日は一年ぶりに三つ子が私たちの村にやってくる。
狭い村で何も知らないことなく育った私にとって、彼らとの出会いは目新しいものであり衝撃的であった。

「(早く会いたいな)」

久しぶりに会える友人のことを思って、私は心躍った。






「虎太くん!竜持くん!凰壮くん!久しぶり!」
「おお、夢子じゃん」
「久しぶりだな」
「元気にしてましたか?」

彼らに会うのが楽しみすぎて待てず、朝から山崎のおじいちゃんの家で待機していたら車の音がしたので庭に駆けると停車した車の中から凰壮くん虎太くんそして竜持くんの順に降りてきた。
特に三人とも身体的に大きな変化はなかったが、虎太くんと凰壮くんは髪形が変わっていて以前よりも三人の見分けがつきやすくなった。

「お前、よく覚えてたな」

最初に降りてきた凰壮くんが私の頭を掴んでグワングワンと揺らしながら笑った。乱暴だけれど頭を撫でてるつもりなのだろう。口が悪いくせに優しい凰壮くんらしいと思った。

「忘れるはずないでしょ。竜持くんも何度か手紙くれたしね」
「竜持はまめだな」

次に降りてきた虎太くんは、両手で犬を可愛がるみたいにくしゃくしゃと頭を撫でて髪の毛をぐちゃぐちゃにした。私の髪の毛がどうなろうが知ったこっちゃないらしい。そういえば去年別れるときも頭を撫でてくれたのは虎太くんだったとぼんやりと思い出した。

「折角貴重な夏休みをつかって会いに来たのに忘れられたらたまったものじゃないですからね」

最後に降りてきた竜持くんは、虎太くんが乱した私の髪の毛を柔らかく触って綺麗に整えてくれた。竜持くんは相変わらず私を女の子のように扱うところがあるみたいだ。女の子には違いないのだが同年代の子からそうやって大事に扱われることがなかなかないので照れくさいし、少し困る。反応が。


「どうする?今日は何して遊ぶ?」

荷物を持って玄関に向かう三人に意気揚揚と尋ねると、虎太くんと凰壮くんの肩が一瞬ビクついてから、不機嫌そうな顔で振り返った。
え?何?と私が首を傾げると竜持くんが呆れたように溜息をついて言う。

「二人とも遊べませんよ」
「え?なんで?」
「まだ夏休みの宿題が終わってないんです」
あれだけ計画的にやっておきなさいと言ったのに。

そう小言を言う竜持くんはまるでお母さんみたいだった。






「……ねえ、終わった?」
「……まだ」
「凰壮くんは?」
「うるせえな!五分おきにいちいち聞いてくんなよ!」
「凰壮くん、人にあたらないでください」



結局昨日はその場でお開きになって、次の日の今日、私が山崎のおじいちゃん家に赴くと必死に机に向かいあって宿題を片づける虎太くんと凰壮くん、そして二人の側の縁側で本を読んでいる竜持くんがいた。
二人は宿題が終わるまで遊びに行ってはいけないと親からきつく言われているらしく、せっせとペンを動かすが全く手を付けていなかったのか量が半端なく、とてもじゃないが終わる気配がない。私は去年の教訓を生かしてさっさと終わらせていたと言うのに。
早く遊びに行きたい私は畳に寝転がりながらもまだかまだかと急かすが、それが逆効果になっているようで、凰壮くんは見るからに苛々し始めた。

「竜持くん、二人の宿題手伝ってあげない?」
「おお夢子!いいこと言うじゃん!」

一気に機嫌がよくなる凰壮くんを見て、現金だなあと思った。

「ダメです、自業自得なんですから」
第一、 二週間もあれば余裕で片付く量ですよ。

全く聞く耳持つ気のない竜持くんがぴしゃりと言い切る。縁側に足をぶら下げて外を見ている竜持くんの背中を眺めながらぼんやりと、真面目だなあなんて思ったけど、ただ自分の利益にならないことはしたくないだけなんだろうなあと思い直した。

「でも、二人が宿題するの眺めるの、もう飽きたよ」
「じゃあ僕と二人で出かけますか?」

読んでいた本にしおりを挟んで、竜持くんは本を閉じながらこちらに振り返った。

「え」
「ああ、それがいいじゃん。夢子うるせえから集中できねえし。竜持が連れてってくれれば俺たちも少しははかどるぜ。なあ、虎太」
「ああ」

二人の言葉を聞くと竜持くんは「決まりですね」と立ち上がって本を机に置くと玄関に向かった。
ぼんやりその姿を見つめていると「夢子さん、早くしてください」なんて竜持くんの声が玄関の方から聞こえる。
「あ、うん」と呟くように頷いて立ち上がると虎太くんと凰壮くんは宿題から目を離さずに「いってらっしゃーい」と私を見送った。
私が小走りで玄関に向かうとすでにサンダルを履いた竜持くんが待っていて、急いで私もサンダルを履こうとすると「そんな急がなくても平気ですよ」と竜持くんが言ってくれた。



「今日はどこに行きましょうか?」

二人で畦道を並んで歩いていると竜持くんが尋ねてきた。私もどうしようかと首をひねる。
内心私は緊張していた。
竜持くんと二人きりになるだなんて、全くの想定外だったからだ。

三つ子とは去年みっちり二週間遊び尽くしたおかげで結構仲良くなれた。しかしながら、初対面の時に感じた竜持くんへの苦手意識みたいなものは、未だに拭えないでいた。
ズバズバ言いたいことを言う割に本心では何を考えているかわからないところや私を女の子のように扱ってくれるところが、どことなく一線引かれている気がしたのだ。
四人でいる時にはそんなに思わないが、いざ二人きりになってしまうと緊張してしまう。
あれ?いつもどんな風に喋ってたっけ?


「僕、行ってみたいところがあるんですけど」
「え、どこ?」

突然の提案に少し慌ててしまった。竜持くんから何かをしたいと言い出すのは、これが初めてのことだったからだ。いつもは虎太くんや凰壮くんが率先してやりたいことを提案し、竜持くんがゴーサインを出すという感じである。

「あの頂上です」

竜持くんは目の前に広がる山を指差した。

「頂上にはまだ、行ったことありませんでしたよね」

そう言う竜持くんとは対照的に、私はうーんと唸った。
いくら小高いと言えど、山の頂上には私たち村の子供も行ったことはない。海に行くために山道を通ることもあるし森の中を探検することはあるけれど、頂上まで行くとなると話は別だ。少なくともサンダルなんて軽装で行ける場所ではない。

「さあ行きましょう」

気の進まない私など気にも留めず、竜持くんはズンズン進んでいくので、私は慌てて竜持くんを追いかけた。
冷静で賢い竜持くんにしては、強引だなあと思った。



どれくらい登っただろうか。
道なき道を軽快に進んでいく竜持くんの背中を見ながら、疲労した脳内の片隅でそんなことを思った。
普段から山に登っては駆け回っている私は、一応体力には自信があった。それこそ都会でサッカーをやっている三つ子にだって負けないと思っていた。
しかしながら進んでも進んでもゴールの見えない山道を登るのは精神的にとても疲れることであり、いつも以上に体力の消耗が激しかった。

「大丈夫ですか?」

時々思い出したように振り返る竜持くんに、疲れて声も出ない私は首を縦にふるだけの肯定を示す。
そんな私を見て竜持くんは「もう少しですよ」と言った。

もう少し?もう少しで頂上?
そんなはずない。子供が簡単に頂上まで登れる山ではないはずだ。

私が疲労と疑心から眉間に皺を寄せると、竜持くんは前に向き直って数歩駆け上がるように足を進めた。置いていかれると思って残量の残り少ない体力振り絞って追いかけると、突然竜持くんが立ち止まる。
どうしたんだ?と思いながら竜持くんの横まで小走りに駆けていくと少しスペースのある平らな場所に出た。

「ここまでですね」

竜持くんがはあ、と疲れたように息を吐いて手の甲で汗を拭った。

「え?頂上まで行くんじゃなかったの?」
「子供の足で行けるわけないでしょう。夢子さんの体力を見てもここまでが限界ですよ」

足手まといのように扱われてムッとしたが、本当のことなので仕方がない。疲れたと主張するように、足がプルプルと震えていた。

さて、と呟いた竜持くんが辺りを見回す。何か探しているようで「何を探しているの?」と聞くが竜持くんは「ちょっと…」と言ってあんまり私の問いかけは聞いてないようだった。

しばらくすると竜持くんは一本の背が高くダントツに太い木の幹に手をつけて「これですね」と呟くと、どこにそんな体力が残っているのか軽々と登って行った。
驚いて「竜持くん?」と呼びかけると「夢子さん、早くしてください」と返事が返ってきた。

登れと?
木に登るのは得意だが、正直そんな体力残ってない。家に帰る体力すらあるか危ういのに。
私が下でモタモタしていると上から「足手まといになりたいならどうぞ下で待っていてください」との声が聞こえた。
自分の庭でもあると思っている村中の山で、竜持くんに主導権を握られる上に馬鹿にされるのは私のプライドに関わる。
私は自身を叱咤して、木に手足をかけた。



いつもより時間がかかりながらも登りきると、既に登り切っていた竜持くんが彼の身体より大きい木の枝の上に立っていた。風通しがいいのか、規則的に綺麗に切り揃えられた竜持くんの髪の毛が不規則に揺れる。私は反対側の木の枝に腰掛けるが、竜持くんは私が登ってきたことにも気付かず、じーっと前だけを見つめていた。

「竜持くん?」

私が声をかけても竜持くんはこちらなんかには目もくれず、ただただ何かを見つめているだけだった。
何をそんなに熱心に見ているのだろう、と竜持くんと同じ方に視線を向ければ、そこには私の育った村が一面に広がっていた。
田んぼに畑に学校にところどころに民家が散りばめられていて、空には入道雲が広がり村を囲んだ森の緑が太陽の光に照らされて木漏れ日を作り出す風景は、実に夏らしいと思った。

見慣れた村も、上から眺めるのは不思議な感じがする。
見る角度の違いでこんなにも見え方が変わってくるのか。
この村を一望するとこんな感じに見えるのかあ、などと暢気に考えていると、横にいた竜持くんが「綺麗ですねえ」と感嘆した。

「綺麗?うん、そうかもね」
「狭い村なのに、のびのびとしてますねえ……」

うっとりとするように呟く竜持くんを見るのも、見慣れた村を上から眺めるのと同じくらい不思議な感じがした。
付き合いは短いけれども、こんな風にただ感情をさらけ出して何かに感動する竜持くん、見たことない。
強引なところといい、今日は初めて見る竜持くんばかりだ。

「ここは空気も澄んでいますし」
「そうなんだあ。都会に行ったことないから、わからないなあ」
「……あそこは、息が詰まります」

そう言うと、竜持くんは眉を顰めて顔を曇らせた。

「息が詰まる?」
「何かと強制されるんです。子供らしさ、とかなんとか。大人の価値観を押し付けられて、それにそぐわなければ淘汰されるんです」
「とうた……?」
「取り除かれるって意味です」

竜持くんが何を言っているのか、言葉が難しくてちゃんと理解することができなかった。
ただ、いつもみたいに自信満々に笑わない竜持くんを見るのは、少し寂しいと思った。


「都会は広いのに、窮屈です」


私は視線を下に落として、竜持くんと同じように村を眺める。
子供でも登れるような小高い山から全てを一望できてしまうここは、確かに狭い村かもしれないが、私にとっては世界の全てであり人生でもあり、同時に誇りでもあった。
何もかもがこの目に映るこの村が、大好きだったのだ。

自分の育った世界を好きだと思えないのは、どんな気持ちなんだろう。
都会にいる時の竜持くんは、どんな気持ちなんだろう。
今の竜持くんは、どんな気持ちなんだろう。

相変わらず私の方なんか見ない竜持くんの横顔は、すごく儚いものに見えた。


私はほとんど無意識に「じゃあ……」と切り出すと、竜持くんはここへ来てから初めて私のほうに視線を向けた。私も竜持くんに視線を戻す。


「つらくなったらいつでもおいでよ。私はずっと、ここにいるから」


私がそう言って笑うと、竜持くんは少しだけ目を見開いて驚いたみたいな顔をした。

「(ああ、この顔も初めてだ)」

変なこと言ったかな?と不安に思っていると、竜持くんが私を見ながら微笑んだ。
普段の人を小馬鹿にしたような笑い方ではなく、整った顔のパーツで弧を描き、それはそれは美しく、さながら女神の微笑みかと錯覚してしまうほどの綺麗な笑顔を見せた。

こんな、こんな綺麗に笑う人、今まで見たことなんてない。


なんとなく、いつもは隠れていて決して見ることのできない竜持くんの本音が見えた気がした。


思わず目を奪われていたら、竜持くんは再び村を見下ろして「そうですね。是非」と言った。

竜持くんの横顔を見つめていると、心臓がいつも以上に速く鼓動を打っていることに気付いて、どうしたんだ?と首を傾げる。

「(なんでこんな、汗かいてるんだろう)」

山を登っていた時の汗なんてとっくに引いていたはずなのに。
いきなり溢れ出した熱と汗に、動揺した。



しばらくすると竜持くんが「戻りましょうか」と言って、スルスルと木から降りて行った。私は竜持くんが降り切ってから木の枝を伝って降りていく。
木登りが十八番である私にとっては、木降りだってお茶の子さいさいだ。
ただしそれは体力が万全の時の話である。

さっきまで疲労で足が震えていたなんてこと忘れてた私がいつも通り軽快に降りていくと、案の定足を滑らしてそんなに高くない高さから地面に落下した。

「ぎゃ!」
「大丈夫ですか?」

尻餅をついた私の元に竜持くんが駆け寄ってくる。

「……こういう時受け止めるもんじゃないの?」
「馬鹿なこと言わないでください。そんなことしたら危ないじゃないですか、僕が」

さっきまでのしおらしい竜持くんなんか幻だったかもしれない。

口をへの字に曲げ不機嫌そうな顔をして、ついたお尻がズキズキ痛かったため少しでも痛みが和らぐように擦っていると、竜持くんが私のもう片方の空いてる手を握った。

「え?なに?」
「また落ちたら危ないですから」

そう言って竜持くんは私の手を握ったまま山をゆっくりと下っていく。
「いいよ」と言っているのに竜持くんは「よくないです」と一蹴して、決して手を離してはくれなかった。

「(手、暖かいなあ)」

そういえば初めて会った時も腕を掴まれた。あの時も、竜持くんの手は暖かかったなあ。




山を完全に下って、いつも走り回る畦道に出ても竜持くんは一向に手を離してくれなかった。竜持くんに引っ張られるように歩く私は、竜持くんの背中しか見えない。そういえば今日は竜持くんの背中ばっかり見ていたなあなんて思った。

「(でも、距離は縮まった気がする)」

置いて行かれないように必死について行った時に向けられた背中と、今見ている背中では明らかに意味合いが違った。

今、竜持くんは、どんな顔をしているんだろう。
竜持くんの背中を眺めながらぼんやりとそんなことを考えた。





竜持くんは最後まで手を離すことなく家まで送ってくれた。
むしろ手を離すタイミングがつかめなくて、家についてもしばらく手を握っていて、離すときはなんとなく名残惜しくなってしまった。

久しぶりに外気に触れた手のひらは、冷たい気がした。



「では、また明日」
「うん、また明日」

私が手を振ると、竜持くんは駆け足で帰っていった。

小さくなる背中を見送って、思わず私は溜息が出た。

「(今日の竜持くん、いつもとなんか違ったなあ)」

強引だったり素直に感動していたり寂しそうだったり儚かったり邪気なく綺麗に微笑んだり握った手を離してくれなかったり。
二人きりだったから?
いつも一緒の兄弟がいなかったから?
理由は定かではないけれど、いつもとは違った一面を見せてくれたのは確かだった。
そして、竜持くんが見せてくれた笑顔を思い出すと、どうしてか心がざわついた。

「(引かれてた一線はなくなったかなあ)」

竜持くんに握られていた手を眺めながら、よく分からない感情に苛まれた。

「(よくわからない、けど、この気持ちを知るのは、まだいい)」

なんとなく、直感でそう思った。
知らないものを知るのは、怖いもの。





それから一週間は、竜持くんと二人きりで遊んだ。専ら私たちの遊び場はあの山中の木の上で、竜持くんは飽きもせず毎日ただただ景色を眺めるだけなので、私も黙ってそれに付き合った。村を眺める竜持くんは、やっぱり儚そうな印象をもたらした。

「お前ら、いつも何してるの?」と凰壮くんに聞かれると、竜持くんは決まって川で遊んでるとかなんとか、適当に嘘をついた。竜持くんが何故そんな嘘をつくのかわからなかったけれど、なんとなく私はその嘘に合わせていた。

あの場所は、私と竜持くんの二人だけの秘密の場所になっていた。





一週間経って虎太くんと凰壮くんの宿題が片付くと、もうあの場所に行くことはなかった。それと同時にあの時の儚い竜持くんもいなくなって、いつも通りの皮肉屋の竜持くんが常時現れた。
儚い竜持くんは、今もあの木の枝に立っているのだろうか。
私はこのよく分からないドキドキした感情を、あそこに置いてくるのを忘れてしまったようで、いつも通りの竜持くんを相手にしても心が休まることはなくなってしまった。





今年もあっという間に二週間は過ぎ、三つ子が帰る日がやってきた。
虎太くんと凰壮くんに「来年はちゃんと宿題やってきてよね」と激を飛ばすが二人はうるさいと言うように聞く耳などもたなかった。
そんな私たちを見て竜持くんは他人事みたいに笑う。
竜持くん!と名前を呼んで諌めると、竜持くんは「すみません」と言って笑った。

「夢子さん」
「ん?」

竜持くんが右手を差し出してきて、何かと思って首を傾げる。握手かな?と思って同じように右手を差し出すと、竜持くんが私の手を握った。
突然手が触れ合ったことに驚いた心臓がドキンと大きく跳ねた。

竜持くんは私の耳元に顔を寄せて「あの場所、二人だけの秘密ですよ」と囁くように言った。
私がうんと頷くと、竜持くんは満足げに笑った。



「また手紙書きますね」

そう言い残して竜持くんたちはまた帰っていった。

私は竜持くんに掴まれた手をジッと見つめた。

「(どうしてこんな気持ちになるんだろう……)」

知りたいような知りたくないような、不思議な気持ち。
竜持くんのことを考えると、胸がざわついて苦しくなる。

「(でもやっぱり、今は知るのが怖い)」


とりあえず、このことは保留にしよう。
竜持くんたちにまた会う日まで、三百五十日くらいあるのだから。












(2012.8.30)

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