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「…あ…っ…!」
内壁を撫でられる感触に、ユーリが一際高い声を上げた。
きゅう、と締められる感覚に息が詰まり、瞼の裏がチカチカと煩くて、止らない動きを加減する余裕も尽きた。
上りきるまで、もう幾ばくもない。
ユーリの口からは、吐息混じりの言葉にならない声たちが飛び散り、瞳からは雪解けの滴が溢れて落ちた。
「……くっ!」
「ああ!」
そして、俺たちは、痛い程抱き合いながら、登り詰めたのだった。
たとえ、過去にも現在にも未来にも、拭い切れない影があろうとも、
今、
俺たちは、俺たち自身のものだ、と
余韻に浸りつつ、息を整えながら、そう思った。
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