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「誰だ、貴様。」
カイは内心困惑しながらも、なんとか平静を装いつつ、目の前の人物に尋ねる。
そのもの言いにユーリは多少のいらだちを覚えた。
何なんだ、この女は?
他人の部屋にいきなり侵入しておいて、なんてふてぶてしい。
「それはこちらの台詞だ。
部屋を間違えたのではないのか?」
しかしここで、ユーリはあることに気がつくのだ。そう、この部屋はカードキー。決まったものしか入れない仕組みになっている。
と、いうことはだ。
「まさか…貴様が火渡カイか…?」
尋ねられて、カイもはっとした表情をする。
「では、貴様がユーリ?」
黙って頷きあったあと、何となく気まずい沈黙のなかで、適度に視線を彷徨わせながら、お互いを観察していた二人だったが、ユーリがおもむろに口を開いた。
「本当に女か?」
「馬鹿か。当たり前だろうが。」
カイは、その言葉に、憮然として低い声で返す。この男、失礼にも程がある。
「すまん…」
「ああ」
再び沈黙。
先に口を開いたのはまたしてもユーリだった。
「コーヒーが入ったから…飲むか」
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