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大きな門をくぐって、カイは今日から住むことになる学寮の敷地に入った。
今日から始まる、初めての寮生活。

この学校の寮は少し特殊で、男子寮と女子寮と言う区別がない代わりに、普通のマンションのように部屋単位で完全に独立している。

一応二人部屋で、同性の同室者がいるとのことだったが、寝室は別になっているし、あまり深く関わるつもりもないので、さほど気にはならなかった。

なにしろ、もうしばらくはあの家に帰らなくてすむのだ。全寮制の学校を選んで本当に良かったと思う。

ほとんどのものは先に送ってしまったため、わずかな手荷物だけを持って長い廊下を歩き、番号とネームプレートを頼りに自分に割り当てられた部屋を探すと、見つけた自分の名前の上には、長いカタカナの羅列。事前に知らせが来ていた通り、同室者は留学生のようだ。

カードキーを通して中に入ると、玄関には既に靴があり、同室者が中にいることを示していた。女にしては随分大きな靴だったが、さすがは留学生と言ったところなのだろうか。

そんなことを考えつつ、一応ノックをしてから、奥の共同スペースに入る。
いくらなんでも、最初の挨拶くらいは必要だろう。


シンプルなダイニングキッチンに立つ人物は、長い手足に白い肌、紅い髪、青い瞳のどれをとっても抜群に美しく、確かに日本人ではなかったけれど、

どう見たって男だった。





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