幸せだって、言ってくれ
普段はいっそ作り物めいた無機物のような白い頬に、首筋に、はっきりと朱がさす。
荒い呼吸に煽られて、ゆがんだ顔に満たされた。
ずっと触れたくて触れたくて、
痛いくらい焦がれ続けたこの身体に、
俺は、今
この手で確かに
触れて、いる。
俺はこの身体に触れることを許してもらえて、こんなにも満たされて幸福なのに、お前はどうしても俺を汚してるなんて、そんな罪悪感を捨てきれないのか?
お互い好きなはずなのに、この行為はお前を苦しめてしまう?
だったら、俺はちゃんと伝えないと。
お前がわかってくれるまで、何度でも。
「カイ、俺、幸せだよ」
抱え上げた腿に唇を寄せながら言うと、潤んだ瞳が俺を見る。
「お前に触れて、幸せだよ。
俺に相応しくないとか悩む必要なんて、ひとつもないんだ」
ぐ、と乗り出して顔を寄せると、中のものが深く進み、カイの瞳からぶわりと涙が溢れて、呻くような声とともに、白い喉元がさらされる。
美しい雫を、溢さないように舐めとって、今はもう、鮮やかな青のない両頬を両手で包んで、伝えたいこと。
「だから、な
罪悪感とかそんなものと戦うよりも、幸せだ、って言ってくれ」
「木ノ宮…」
カイはすこし躊躇うようなしぐさを見せた後、ぎゅう、と俺の背に腕を回して、精一杯の声で、
「幸せだ…っ」
と言った。
「俺もだよ」
いつかお前が、幸せだけに満たされる日がくるといい。
どれだけ時間がかかっても、俺が必ずそばにいるから。
なあ、カイ、俺、お前のことが、特別好きで、大事だよ。
こんな気持ちも、
嫉妬とか、ドロドロした醜い感情も、
それを乗り越える術も、
こんなに大事なもの全部、教えてくれたのは、
強くて脆くて、綺麗な、
お前、なんだよ
[*prev] [next#]
→TOP