お前はいつも真っすぐすぎる。

俺が、絞り出すように言った言葉は、眩しい笑顔とともに返されて。

「なあ、汚すなんて、言うな。

お前は俺を汚したりなんかしないし、全部受け入れても、お前は俺のライバルだ!」

お前はいつも真っすぐすぎる。
瞳も笑顔も声も、苦しいほど真っすぐに俺の心を捉えて、言い訳する隙すら与えずに、お前なら大丈夫だと、思わせる。

それでも、やっぱり駄目だと、どうにか拒もうとした腕は強い力で掴まれて、引き寄せられ、唇を奪われる。

たどたどしくも、優しいキスは、頑なな心をこじ開けて、黙りこむ冷静さを失わせてしまう。

「カイ、すきだよ。お前は?」

「俺、だって…だが…」

「十分だよ」

お前も俺のこと好きならそれだけで、そんなことを言われてしまったら、俺はお前の首に腕を回すことを我慢できなくて、無垢な唇に自分から触れてしまった。

「嫌なら言ってくれよ」

今更そんなことを言う木ノ宮の、髪を撫でる。
本当にこいつのことを思うなら、突き放さなくてはいけないのに、俺の口は馬鹿みたいに正直に、いやなわけがないだろう、と言っていた。

眩しい笑顔で抱きしめられて、ゆっくりと押し倒されたとき、俺は言いようのない後ろめたさと、純粋な強い喜びを感じていて、そんな感情がないまぜになった状態では、理性がうまく働かない。

でも、木ノ宮が俺に触れてくれていることが、うれしいのは確かなのだと思う。
こいつの気持ちに、応えたいという思いも。

心臓が煩いくらいに高鳴って、気持ちは、こんなにもまっさらなのに。

身体は、慣れない手つきでまさぐる手を、器用に導く術を知っていて。

どうして、どうして俺のここは、こんなにもはしたなくお前を受け入れてしまえるのだろう。
どうして俺はお前にちっとも似合わないあばずれなのだろう。

痛みだとか、恥じらいだとか、そういう清らかで初々しいものは全部、お前との時のために取っておきたかった。
どうして俺の初めては全部、屈辱と恐怖とともに奪われてしまったんだろう。

どうしてあの時の俺は、抗う術を持たなかったのだろう。

木ノ宮の動きに合わせて、媚びるように上がる自分の声を聞きながら、俺は泣きたいような、どうしようもない気持ちになったのだった。





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