素直じゃない

日向ぼっこに最適ないい天気だったので(遊具の無いタイプの)公園に散歩に出た。

俺だってデュエルしない日もあるさ。



そしたらベンチでふんぞり返っているジャックがいた。遠目に子供がチラチラ見ている



「よお、ジャック」

近づき難かったがいたたまれなくなったので話しかける事にした

「ふん、なんだ小波か。オレは忙しいんだ、龍亞にでも遊んでもらえ」

「……。」


どう見ても暇そうにしか見えん。


「どうしたんだ、こんな日中から公園に居るだなんて」


「仕方ない。教えてやろう」



ジャックが言うにはこうらしい

今日は天気が良い上、クロウも遊星も仕事が休み
ポッポタイムの大掃除をしようと言うことになったらしい。そこでジャックも手伝っていたみたいだが、いかんせん掃除どころか散らかしてしまう。
ジャック本人はきちんと掃除を手伝っていたみたいだが遊星によって(きっとクロウだとケンカになるから)追い出され、暇を持て余していたようだ


「ふーん…じゃあさ、俺とデートしようぜ」
「誰がお前の様な色魔と…」


「2杯までなら例のコーヒー、奢るけど?」

「よし、行こう」


釣れた。ザリガニよりも簡単じゃないか。
いいのかジャックよ…





………財布がぺしゃんこだ。

「2杯までって言ったのに…」



俺のぼやき何て聞こえていないのだ。今7杯目を飲んでいる奴には



「…こりゃクロウもキレるわな」


聞き分けが皆無だからな。


「なージャック、デート行こうぜ。デェト!!」

「オレはコーヒーを飲みたい、それだけだから着いて来たまでだ。だれがお前みたいなすけこましと…」


「俺の誘いなら乗るつった奴は誰だよ!!」

「あれはライディングの話だ。この件とは違う」


ここまで大出費させられて引き下がる俺ではない。

「ジャック(仮)、こい!」


飲み終わったのを見計らいジャックの首根っこをひっ掴みずるずる引きずる。


「なんだ!小波!!(仮)なんぞも付けて引きずるとは!!」


引きずられながら大激怒するジャックを無視してとある人の所へ足を運ぶ





「よお!ジャック!!」

「小波何を言っている」

「お前じゃないよ。ジャック(仮)」

『なんだ、小波ではないか。元ジャックを引きずってどうした』



「…!お前は!!」

「ジャックは約束事は破らないよな?」

『ああ、もちろんだ。ろくに守れない約束を交わす奴など二流三流だ』


「さっすがジャック!聞いた?元ジャック」

「うるさい!あの約束はお前がはき違えただけだろう!!」


『フン、見苦しい。』

「なんだと!?」

『ここまで器の小さな男だとは…』

「貴様!言わせておけば…!!」



「……」

うるせぇ…


耳が(物理的に)痛くなってきたのでこっそり帰った。


帰り道に遊星達の様子を見にいった。
とうに掃除は終わっていてちょうど夕飯時だったみたいでご馳走になった

で、ブルーノと和気藹々と話していると荒々しくドアを開けたジャックは俺の姿を捉えると鬼の様な形相でこっちに向かってきた。隣でブルーノが「暴力反対!!」と青い顔で言っている


「ジャックお帰り」

「小波貴様!よくもオレを放って帰ったな!!」

「何?一緒に帰って欲しかった?」


「違う!あの後偽者とデュエルしてきたのだ」

「仲良いじゃないか」

「どこがだ!今回のデュエルは引き分けで終わったが、真偽をヤツにしっかり教えるまでは……」


だからちょっとコートの裾が焦げてるのか。ダメージが本物になるし

「ブルーノ、もう席外してもいいよ。」

居心地が悪そうにしていたブルーノに耳打ちし、ジャックは熱弁中だから大丈夫。と付け加えると申し訳なさそうな笑みを浮かべ、ガレージへと向かっていった。

…ブルーノの部屋はガレージなんじゃないだろうか


「聞いているのか、小波!!」

「あぁ、聞いてるよ。まぁ暇は潰せただろ?」

暇してみたいだし。と付け加えると呆れたのか口を開いたが、音は発さず代わりにふぅ、とため息が出た


「…もういい、オレは寝る……」


部屋に帰るジャックの背中を見送りおやすみーと声をかけると片手を力無く上げ、ひらひらと降ってくれた。

こういうとこは優しい。



「おーおーやっと大人しくなったか」


クロウがひょこっと隣の部屋から顔を覗かせていた。

「アイツ小波のことかなり気に入ってるからなぁ」


「え、マジで?コーヒー代えげつなかったけど」

ゴメンな、とクロウは申し訳なさそうだったが俺はそれどころじゃなかった。

理解が遅れたが何だって?ジャックが俺の事を気に入ってるだって…?!


すくっと立ち上がり真っ直ぐジャックの部屋へ向かう。


後ろでクロウが関わるまいとその場を立ち去っていた





もちろんその晩はジャックの部屋に泊った(めっちゃいい臭いだった)

朝にジャックに殺されそうになったが
ジャックの俺に対しての気も分かったし!!これもご褒美だ



素直じゃない




それがかわいいんだけどな!


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