雪の中の、

北風が冷たい。
お気に入りのコートのポケットに手を入れ、家を出る。
家を出て、少ししてから目の前にはふわふわと落ちていく白い雪。
傘を忘れてしまった為、少し早足に歩く。
目的地までは、まだ遠い。
音楽プレーヤーも忘れて、画面が濡れるのが嫌で、携帯は使えない。
ただ黙々と歩くだけ。


ふと横を見ると、周りの風景から浮く西洋風の建物が見えた。
どうやら、家らしく門のところにベルがあった。
門の奥に大きな一本の木があって、その下に同い年くらいの少年が立っていた。
自分とは正反対の服装に、思わず身震いした。
こんな雪の降る中でどうしてあんなにも薄着でいられるのだろうか。
コートにマフラー、耳当てまでしている私でもこんなにも寒いというのに。
見ているだけで寒くて、早く目的地に着きたいと思っていた筈なのに、木の下でずっと動かない少年に釘付けになった。

ただ、ぼうっと枯れて葉のなくなった木を見る少年を門の外からずっと眺める私は端から見れば、かなり怪しいのだけど、どうしても男の子から目が離せなかった。

少しして、ぴっちりと髪を纏めた女の人が慌てて少年を建物の中に入れた。
男の子はまだ外に居たそうだったが、女の人がそれを許さなかった。
エプロンをつけていることからして使用人かなにかだろう。
こんな大きな家に住んでいるのだから当たり前なんだろう。


男の子が家に入ったことにより、立ち止まる理由がなくなった私はまた歩き出す。
手はすっかり赤くなっていた。



だんだんと目的地に近づいていき、雪のせいで視界は悪いが目的の建物が目に入るぐらいにまで近付いた。
手を擦り合わせ、白い息を吐きかける。


目的地はスポーツセンターだ。
スイミングや新体操、空手やバスケットなどと言った屋内でのスポーツも、野球やサッカーなどと言った屋外でのスポーツにも対応した広い施設。
こんな天気にも関わらず、普段と変わらず人は多い。
その中で地下に降りていき、途中ココアを二本買って、ここに来た目的の場所に向かった。



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