※それは空に溶けていった、の続きっぽい。
「まだ生きてるんだ?」
「意地悪言うなよ、どうせ五分ももたないんだ」
布団の中で病的なまでに白い顔は薄く笑った。
これから死ぬとは思えない程、元気に見えるのは自分だけなのだろうか。
「これから俺、何処行くんだろ」
「地獄じゃね?」
そう言うと少年はハハッと笑った。
「地獄あるんだ?」
「ある。行ったことないけど」
「そうか…。まぁ、天国があるんならあるか」
「そういえば、自殺した人は死神になるって聞いたことがあるんだけど、ホント?」
ニンマリと笑みを深くして聞いてくるこいつを今すぐ手元の鎌で殺したくなった。
傷のない腹部に鈍い痛みがあるのが分かった。
「ゴメンゴメン。今、ここで自殺したらどうなるのかなって思ってさ」
「お前なんかが来たら、仕事の邪魔だ」
「ひどいなぁ……ねぇ、ちゃんと丁寧に運んでよ…?」
そして、少年は口を開かなくなった。
生前に見せた柔らかな笑顔のままで。
ふと、部屋を見回すと一枚の白い羽が落ちているのを見た。
鳥類のそれとは違う羽を見て、口角が上がっていった。
「だから、泣きそうだったんだ?」
ひらり、と羽を落として自分も部屋を後にした。
「…440…No.24440!」
「はーい。なんすかー?」
「呼ばれたらきちんと返事しろ。それと服装をきちんとしろ。服装は死神の基本だからな」
「はいはい」
「新入りだ。No.32506だ」
「よろしくお願いします」
新入りはニンマリと笑った。
そして何かを呟いた。
新入りの呟きは俺にも男にも、分からなかった。
「面倒見てやってくれ」
『キミの邪魔にならないようにはするよ』
腹部に痛みが走った。
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