それは空に溶けていった



今日は仕事の下見で来ていて、正直言うと下見が終わったんなら、帰らなきゃいけないのに、何故か自分は懐かしい此所をブラブラとしていた。

前はあんなに嫌いだったのに、今じゃ全くそんなことを感じない。今の仕事についてからだろうか。


「やぁ」


「あんた…」


彼女は整った顔を歪めた。
眉を寄せてこちらを睨んでいるようだった。


「珍しいねェ。キミみたいなのが、こんなところにいるなんて…お肌に悪いんじゃないの?」



「余計なお世話。あんただって、何しに来たの」


「僕はねェーってあれ?」


彼女はスタスタと歩いていってしまった。
それを追いかけ、肩に手を置くと振り払われた。



「酷いなァ。僕、傷ついちゃう」


「キモッ。アタシに話しかけて来ないで」



「無愛想だなぁ」

彼女と同じような子はもっと愛想が良かったよ?と続けると、


「あんたにはね」


「ツンデr「仕事でしょ。早く行けば」酷いね〜」


言葉まで遮られるなんて…やっぱりツンデレだ。
いや、ツンツンかな?



「もう仕事、終わったんだよねー。だから、ちょっと遊ばn…」

言い切る前に彼女は飛んでいった。
雲のように白い羽を広げて。


「ざぁんねん」



ポツリと呟いた言葉も空に溶けていった。



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