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カーテンを閉め忘れたせいで、入ってくる日差しが目に痛い。
携帯で時間を確認すると、もう既に起きなくてはいけない時間になっていたが、起きるのが面倒で、また意識を手放した。
「晃! 起きなさい、今日も学校だよ!」
バシッ、布団の上から背中を叩かれて眉をしかめる。
「んー…まだいいよ…」
「はぁっ? なに言ってるの、そう言って何回遅刻したと思ってるの!」
「…三回?」
布団の中から手を出して、三本指を立てて見せると、物凄い力で手を握られた。
「六回よ、六回! この指じゃ足りないくらい遅刻してるの!」
「ああ…うん…」
曖昧に返事をすれば、布団を剥がされた。
眩しさに目を細める。
あぁ、今日も学校か。
めんどくさいな…
いちいち、朝起きて、制服に着替えてって言うのがどうにも面倒だ。
おまけにそこから、他人と触れ合わなければならないあの空間がどうにも嫌だ。
実を言うと、この毎日毎日起こしにやって来る幼なじみと接するのさえ、億劫に感じる。ここでまた、お節介女は嫌いだ、とか言ってみたらどうだろうか?
だが、この女はそんなことでは屈しないだろう。
それにあっちだって、それを分かっているはずだ。
その点に関しては、良いと思っている。
「それにしても、あんたって本当、身体だけじゃなく、中身も冷めてるよね」
温められたスープを飲みながら、ちらりとそちらに向いた。
「電話もやだ、メールもやだ。遊ぶのもやだってどういうこと?」
「面倒」
「何言ってるの? そういうのを繰り返して、青春を謳歌していくのよ」
「そんなもの、面倒だ。学校で会って、話をしているじゃないか。何故、学校の外までも付き合わなければならない。卒業したら、終わりなのに」
「はぁー…。あんたって奴は…。まさにやる気ストライキね」
「なにそれ」
「やる気がストライキしてるのよ、あんたの中でね」
「まっ。あたしはそんなあんたのこと、全部引っくるめて好きだけどね」
「そりゃ、どーも」
スープを飲み干すと、いつの間にか用意していたのか、あいつは俺の鞄を持っていた。
「早くしないと遅れちゃう。行くよっ」
「分かってるよ」
あぁ、やっぱり俺はこいつが苦手だ。
この恥ずかしげもなく、さらっとしているところが、どうしようもなく…。
自分がこんなにも、女々しい思考を持っていただなんて、知らなかった。
それでも、他人に関心がない自分がここまで長く関係を保っているのはこいつだけなんだろうな、なんて考えたりもする。
Lotus様、7月のお題、『やる気ストライキ』に提出。
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