参!
柔造視点
「じゅうにいがダメやったらごうにいにたのむしかあらへんなぁ……」
ごうにい…剛造の名に、思わず体がピクッと反応してしまった。
(あの剛造に?かわええかわええかわええかわええ〔以下略〕なまえが?)
「
あかん!!」
ついつい出てしまった大声になまえが体を揺らす。
(堪忍なぁ、なまえ。けどなあ、剛造だけはあかん。あかんのや)
「じゅうにい?」
「なまえ、ええか?剛造だけはあかん。あいつは腹ん中真っ黒けやで。」
なまえの肩に手を置き、熱く語る。
わからない、という顔のなまえ。
ああ、そんな顔もかわええ。
「あいつはなぁ、目的のためやったら兄貴である俺のこともおとんに売るんやで?」
(俺ら二人でしたイタズラを俺に押し付けおって……、あの後ごっつ怒られたんやぞ?)
ひどいやろ?
となまえに言うが、まだまだ分からないらしい。
剛造はなまえにだけは優しいからなぁ。
「なまえは柔兄が守ったるさかい、剛造にだけは気ぃつけるんやで?」
「おん……?」
怪訝そうな顔のなまえ。
まあ、そうやろなぁ。俺かて別に剛造が嫌いなわけやない。
あいつも俺の大事な弟だ。
ただ、雰囲気が苦手なのだ。
あの、周りとの間に薄い壁があるような雰囲気が。家族である俺らにも少し距離を置いているように感じる、そんな雰囲気。
(なまえくらいやで?剛造があないな態度をとるんは)
あとついでに言えば、あいつは何かと俺に突っかかってくる。主になまえのことで。
「ま、剛造には気ぃつけるんやで?ゆう話や」
「……ん」
煮え切らない返事やな。
まあええわ。たとえ剛造でも俺からなまえを取ることなんてできるはずないんやからな!!
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