弐!
「も〜、なんやの?ごうにいがぐしゃぐしゃーてするからかみぐしゃぐしゃになってしもたわぁ」
朝せっかく盾姉に結ってらったのに。
剛兄、次会ったらたたじゃおきませんよ?
うーん、それにしても広い。
なんでこんな広いのでしょうかここの家。
これじゃあいつまでたっても探検が終わらない気が……。下手すれば迷子になるかもしれないですし。
何かいい手はないですかね……。
「お!なまえやないの!こないなとこで何しとるんや?」
「かんがえごと…」
縁側に座って考えていたら、これまたイケメンさんの志摩家次男、柔兄です。
柔兄は剛兄よりも二つ歳上です。兄弟の中で一番頼りになります。
「あ、そや。じゅうにい、だっこして?」
腕を広げて、所謂"抱っこ"のポーズで待ちます。
きっと柔兄は優しいから抱っこしてくれるはずです!
「……?」
抱っこをしてくれる気配のない柔兄に、ダメ?という意味も込めて首を傾げてみせると、
「
かわええ。……っ!!あー、もう!!!可愛すぎるんじゃ!!」
「ふげ!!」
急に柔兄に抱きしめられました。
柔兄がぎゅーっと抱きしめるものですからちょっと痛いです。
「じゅ、じゅうにい。いたいんやけど……」
「あかんわ。なまえがかいらしすぎて柔兄もう動けへん。堪忍なぁ、なまえ」
「そんなぁ。じゅうにい、きばってやぁ」
私を抱え込んで座り込む柔兄の腕から抜け出そうともがくが、如何せん小さな子供と十も歳の離れた男の子では力の差は歴然。無理でした……。
どうしましょう。
これでは探検ができませんねぇ。
「じゅうにいがダメやったらごうにいにたのむしかあらへんなぁ……」
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