ニューお試し部屋 | ナノ


第二柱




報告とお礼を兼ねて閻魔殿へ行くと、閻魔様にお会いできました。

「閻魔様、お久しぶりです」

「ああ、なまえちゃん久し振りだねぇ。
ちょっと背が伸びたんじゃない?」

「本当ですか? 私、早く兄様と同じ目線に立ちたいんです」

兄様は背が高いので、お話ししているといつも首が痛くなるんです。
そう言うと、閻魔様は笑顔で頭を撫でてくださいました。

「本当になまえちゃんを見てると和むよ。鬼灯くんもこんな妹がいて嬉しいだろうね」

「あ、そうでした。閻魔様、兄様がどこにいるか知りませんか?」

「鬼灯くん? たしか、金魚草に水をやってくるって言ってたけど」

「ありがとうございます。閻魔様、お先に失礼します」

今度一緒にお茶でも飲もうねーという声を背に、兄様のところへ駆けていく。
はしたないですが、それよりも早く兄様にお会いしたいのです。

「兄様!」

大きな背中に抱きつく。兄様の背中は安心します。

「はしたないですよ、なまえ」

「うっ」

振り向いた兄様にデコピンをされてしまいました。でも、あまり痛くありません。やっぱり兄様はお優しい方です。

「ごめんなさい。兄様に早くお会いしたくて」

ぎゅうっと抱きしめると、兄様の煙管の煙の匂いが肺の中を満たしていく。
兄様大好き。

「まったく……いつまで経っても子供ですね」

呆れながらもなんだかんだ頭を撫でてくださる兄様。なんて幸せなんでしょう。
そのあとは二人で金魚草を眺めながら、兄様を呼びに小鬼さんが来るまでゆっくり過ごしました。


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