「佐隈は小さいほうが好きか?」
家に帰る途中、なまえちゃんがこんなことを聞いてきた。小さいほうってどういうことなんだろう。
「今までの契約者はみんな大きい方がいいと言っていたぞ」
その言葉とともになまえちゃんはみるみるうちに伸びていき、とうとう私と同じくらいの身長になってしまった。
薄い桃色がかった髪をした綺麗な女の人がそこにはいた。
「どうだ? 小さいほうがいいか?」
おそらく、今までの契約者の人はこの綺麗な女性の体にこのあどけない感じが好きだったのだろう。私も女じゃなかったらきっとそうだった。そのくらいの魅力のある子だった。
「私は小さいほうがいいなぁ。抱っこもしやすいし」
「そうだな!」
私がそう言うとパアッと花が咲いたように笑うこの子を見て不思議と私が守らなくちゃ、と思った。
「そうだ。私のことはりん子って呼んで? その方が仲良くなれた感じがしない?」
「りん子……りん子! りん子りん子!」
嬉しそうに私の名前を連呼するなまえちゃん。子供がいたらこんな感じかなぁ。あ、でも自分の子供だとこうはならないか。
「これが佐隈の家か! 一人暮らしにしては大きいんだな!」
私の住むアパートを見てこう言ったなまえちゃんにクスリと笑ってしまった。
「これはね、アパートっていって何人かで住む家なのよ。だから、全部が私の家じゃないの。私の部屋はここ」
佐隈の部屋へ入ると、なまえはぐるりと部屋を一周した。
「こんなに小さいのに家なのか? 私の部屋より小さいぞ?」
確かに一人暮らしだから部屋は狭いが、それでも普通のアパートよりは大きいほうだ。
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