Duo
一方その頃の魔界では___
「ベルフェゴール家の者はまだこないのかのお」
議長のような老人……否、頭が三つある異形のものが叫ぶ。色欲の悪魔、アスモデウス卿だ。全く、呑気なものです。
ここは魔王の城にある会議室。
円卓を囲む七つの席のそれぞれに一柱ずつ悪魔が座っている。私から順に、ベルゼブブ、ルシファー、マモン、ベルフェゴール、レヴィアタン、アスモデウス、アスタロトだ。
この七柱の悪魔は、地獄の中でも有数の貴族たちだ。
「あら?いつもならベルフェゴールちゃんが来なくても会議を始めるじゃない」
ジャラジャラと身につけたアクセサリーがうるさい。アスタロト嬢は会議というものがわかっているのでしょうかねぇ。
「そうだぞ!僕はいつもこの時間にお金をかぞえるんだ!!早く終わらせてくれないかい?」
マモン卿……、貴方は声のトーンを少し下げてくれませんかね。
「おい、少しは静かにせんか貴様ら!!これではいつまでたっても会議が始まらんではないか!!」
「俺様がいりゃあいーじゃねーか。さっさと会議をはじめよーぜ!」
「ルシファー!!会議室でギターを弾くなとあれほど言っただろうが!!」
……はあ。レヴィアタン卿は自分も煩いということが分かっていないようだ。
「俺様の音楽を聴けて幸せだろ?もっと褒めたっていいんだぜ?」
「誰もそんなことは言っておらん!!!大体お前はいつもいつも騒ぎおって!!ここが何をする場所かわかっているのか?!」
ああ煩い。
ダンッ!
思わずテーブルを手で叩くと、打って変わって静かになる。
「全く!少しは静かにしなさい!!ベルフェゴールの者が来ないのはいつものことでしょうが!!ルシファーくん!貴方は仮にも次期魔王と呼ばれている身なのですから少しは自重したらどうです?それからそこで頷いているレヴィアタン卿!貴方もです!」
ワシ?みたいな顔をするんじゃありません!
「ベルゼブブの言う通りじゃ。ここは魔王様の住まう城じゃぞ、静かにせい」
アスモデウス卿の一言でとりあえずは静かになったようだ。
「とりあえず、ベルフェゴールの者が来ないのならば今日はもう解散じゃな」
このクソジジイ。
人を呼んでおいて結局それかよ。
とんだ時間の無駄でしたね。
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