君の視線を追いかけて
※ハリーがルーピン先生のことを好きという設定ですので、ご注意を。
「ハリーにはやっぱり赤い色が似合うのかしら。あぁでも、緑も捨てがたいわよね」
「ハ、ハーマイオニー?」
ハリーとハーマイオニーがダイアゴン横丁へ来てかれこれ三時間。ハリーは着せ替え人形かのように服をとっかえひっかえ着せられていた。そろそろハリーも疲れてきた頃だったが、ハーマイオニーはあーでもないこーでもないと頭を悩ませていた。
ことの発端は一昨日だ。
夕食を食べ終え、グリフィンドールの談話室へ戻ろうとしていたハリーをリーマスが呼び止めた。
ロンとハーマイオニーの二人には先に戻るように言い、ハリーはリーマスと少し話した。
話が終わってハリーが寮の自室へ帰ってくると、ハーマイオニー以外の生徒はいなかった。
「それで、なんて言われたの?」
「え?」
「とぼけないの。そんなに嬉しそうな顔しちゃって、ルーピン先生にデートにでも誘われたの?」
さあ、早く言いなさい!
と、ハーマイオニーはハリーを追求していく。ハリーはハーマイオニーに相談しようと、顔を赤らめながら小さい声で言った。
「……その、リーマスが……今度の休みに一緒にホグズミードに行かないかって」
「やったじゃない!! 返事は? もちろんOKよね!」
ハリーは首まで真っ赤にしながら頷いた。
ハリーが密かにリーマスに想いを寄せているのは、グリフィンドールの女子全員が知っている。ハーマイオニーを筆頭に応援しているのだが、ハリーはなかなか積極的に行動しない。ハリーの性格を考えればもっともだが、恋する乙女はもっと大胆に動かないと! とはハーマイオニーの言葉である。
なかなか進展しない二人の仲にみんなやきもきしていた。
「それで、その……相談なんだけど。私、オシャレとかわからなくて……でも、せっかくリーマスが誘ってくれたから、だから、一緒に服を買いに行ってくれない……かな……?」
「もちろんよ! そうね、明日にでも行きましょう!」
ハーマイオニーが明日の計画を頭の中で練っていると、袖を引っ張られる。振り向くと、
「ハーマイオニー、ありがとう」
心の底から嬉しいというハリーの笑顔に、ハーマイオニーはカメラを持っていないことを悔やんだ。
ハーマイオニーはガバッとハリーに抱きついき、ハリーの癖のある髪を撫でた。
「もう! いいのよ、そんなこと気にしなくて! ハリーのためだもの!
それに二人にはさっさとくっついてもらいたいしね」
最後の一言は小さくてハリーには聞こえなかった。
ここで冒頭に戻る。
「ハーマイオニー。そんなに悩まなくてもいいよ」
控えめにハリーは言った。
「あらだめよ! ハリーにはとびっきりの服を着てもらわないと!」
なんだろうか。ハーマイオニーの瞳の奥がメラメラと燃えているような気がする。
「ハーマイオニー……」
結局、ハーマイオニーが納得するまで3時間の時間を要したのだった。
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