始まりの誕生日


「ハリー!早く起きろよ!」

今朝の目覚めは、ダドリーの怒声という最悪のものだった。
ドタドタと階段を(もちろんわざとに決まっているが)降りるものだから、階段の下にあるハリーの部屋はカタカタと小刻みに揺れる。

(ダドリーが起きてるってことは、私は寝坊しちゃったのか…)

いつも通りならこの後、叔母のペチュニアがキンキン声で起こしにくるはずだ。

そうしたら決まって朝食抜きになるから、ハリーは急いで支度をしてキッチンに向かう。

「ハリー、今起きたのかい?遅いじゃないか。今日はダドリーちゃんの誕生日なんだから、全て完璧にしなきゃいけないのに」

「ごめんなさい、おばさん」

キッチンに行くと、おばさんから小言を言われる。それに小さく謝ると、さっさと席につくよう言われた。

ダドリーの誕生日。ハリーが最も惨めな思いをする日だ。
叔父であるバーノンは、おばさん同様に大変な親バカで、さらにドリル会社の社長だからいつもプレゼントが山盛りになっている。

ダドリーは、これだけあるにもかかわらず去年よいり2つも少ないと騒いでいた。

(37個もあれば十分だと思うけど…)

ハリーはといえば、誕生日プレゼントはダドリーのお下がりで、大抵どこかしら壊れている。
それだってまだいい方で、悪い時は誕生日すら忘れられる時だってある。

(今年もどうせ忘れるんだ…。おばさんとおじさんは、私のことを極力忘れるようにしてるから)

ハリーは小さく、本当に小さく、

「神様なんて大嫌い…」

と呟いた。