古着屋と不思議な人達


朝、目が覚めた。
起きた途端に不思議な痛みがハリーの体に広がる。
筋肉痛に似たような軽い痛み。

「私、昨日の夜何をしてたっけ」

確か、動物園から帰ってきた後、部屋で静かにしてて……。
その後、夜になってから公園に行って……。
それで、えっと……。

「うーん……」

ハリーはなかなか思い出すことができなかった。
しばらくして、そのうち思い出すだろうと高を括ったハリーは、おばさんにどやされる前にキッチンへ向かった。

「ひっ」

キッチンへ入った途端、ペチュニアおばさんの甲高い声が響く。
ダドリーはハリーがきたので、少し機嫌がいいみたいだ。鬱憤を晴らす相手がやっときた、という顔をしている。

「おい小娘。そのメガネはどうした」

新聞から目を離したバーノンおじさんは、ハリーの新品同様になったメガネを見つけた。
確かハリーのメガネはヒビが入っていてボロボロだったばず。
そう思って発したバーノンの言葉を聞いて、ハリーはやっと昨日のことを思い出した。

(そうだ!公園でリーマスにあって、その時メガネを直してもらったんだ!)

でも、どうやって直したんだろうか。
考えようにも頭に白い靄(もや)がかかっているような感じがしてうまく考えられない。

「ハリー?!何とか言ったらどうなんだ?!」

「うぁ、えっと、いつもと変わりないよ?いつも通りボロボロ!」

ほら!
とメガネを外してぶらぶらと手で振ってみると、バーノンおじさんはまだ不振そうな表情だったが、新聞に視線を戻した。

(ふぅ。なんとか誤魔化せた……かな?)

(……それにしても、思い出せないってことは今は思い出す必要がないってことだよね。とりあえず、メガネのことは考えないでおこう)

「ハリー!朝食を食べたら買い物に行くよ!遅れたら承知しないからね!」

「一緒に行ってもいいの?!」

「うるさいよ。いいからさっさと支度をおし!」

あのペチュニアおばさんが、私を連れて買い物に?!

ハリーは信じられなかった。
だって今まで一度だってハリーを連れて買い物になんて行ったことなどないのだから。
初めての買い物に期待を膨らませながら、ハリーはお情け程度の朝食を急いで食べた。