この声は……っ!!
ハリーが急いでブランコから降りて振り返ると、そこにいたのはこちらに手を振って笑っているリーマスだった。
「リーマス!」
「やあ、また会ったねハリー。……おおっと」
思わずリーマスに突進してしまった。
自分の顔をリーマスの服に押し付けるようにグリグリする。
「会いたかった」
「ハリー。僕もまた会えて嬉しいよ」
正直、あの後急にいなくなったのを見て夢だったのかと思っていたハリーは、再びしかも早いうちに会えて感極まっていた。
「あの後は大丈夫だった?」
頭を撫でてもらってご機嫌なハリーは、今日起こった不思議な出来事を楽しそうに語る。
「うん。おばさんたちとは無事に合流できたよ。ただ……」
「何かあったのかい?」
リーマスの顔が硬くなったことに気づかないハリーは、続けた。
「ヘビを見ていたら、急にガラスが消えて、ヘビが逃げちゃったの」
「……」
あははと笑うハリー。
それを見るリーマスの表情は、未だに硬いままだ。
それからしばらくハリーの頭を撫でた後、抱きついているハリーを自分から離す。そしてハリーの肩に手を置き、慎重に話を始めた。
「ハリー、そういうこと……、あー、今日みたいに不思議なことはよく起こるのかい?」
「…?よくあるよ?」
「それは何かに怒ったり、悲しくなった時に起こっていた?」
「うん」
頭を押さえ、嬉しいのか悲しいのかよくわからない表情をするリーマス。
(できればこの子には魔法界……ヴォルデモートとは関係なく生きていて欲しかった。でも、そうか……)
「近いうちに君のところに手紙がくるだろうけど、叔父さんと叔母さん、ああそれとダドリーくんには絶対に見せてはいけないよ?」
「わかった」
(物分りがいいのかあまり深く考えない素直な子なのか……。なんにせよ、ホグワーツは必ずハリーに手紙を送るだろう。ダーズリーはダイアゴン横丁に行くわけがないから僕が一緒に杖を買いに行こうか……)
またもや考えごとに熱中してしまったリーマスを見て、少し考えたハリーは先ほど会った時と同じように抱きついていることにした。
(リーマスは不思議な匂いがするなあ。何かの薬品?の匂いかな。あ、ボタンがほつれてる。後で縫ってもいいか聞いてみようかな……)
ハリーは、リーマスは気づいていないと思っているが、実際はリーマスは気がついてる。しかもハリーは可愛いなぁなどと思っているなど知る由もないハリーだった。