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お昼休み(ヒロイン視点)


 今日も苦手な授業が終わりやっと昼休みが始まる、今日は教室でお弁当を食べるのだろうかと考えていると明音が私の席まで来た
 私は教科書を仕舞い、鞄から二人分のお弁当を机上に置いて明音を見上げる

「名前、今日は生徒会室でご飯食べよう」
「わかったー」

 重い腰を上げてお弁当を二人分持とうとしたら明音が一つ持ってくれた、ピンクのナフキンに包まれたお弁当、明音のために作ったお弁当だからいいんだけど
 私のはブルーのナフキンで、これは髪の色で分けている、普通なら逆だと思うだろうが私たちにはこれが当たり前なのだ
 生徒会室へ向かう明音の横を歩きながら世間話をする、大抵が午前中の授業のこととか

「やっぱり先生の教え方が悪いと思う」
「あ、それは僕も思った、何か解りにくい」
「だよねー」

 やっぱり明音といると落ち着く、明音の右手と私の左手を繋いで歩く
 もう少しこうしていたかったが生徒会室に着いてしまった、明音が扉を開ければ翔とレミちゃんと桜以外にもいた、京ちゃんとその彼氏の……

「宮田くん」
「いや、俺は宮村だから」
「そうそう、その宮永くんがどうしてここに?」
「ねえ、わざとやってんの!?」

 今日は私たちも一緒に食べるのよ、と京ちゃんが教えてくれた、そうか一緒に食べるのか今日は賑やかな昼休みだ
 さっそく適当な椅子に腰を降ろすと隣に明音が座る、この何気ないけど当たり前なことが私は好きだったりする
 レミちゃんが飲み物を忘れたと騒ぎ出したので翔がレミちゃんを連れて自販機まで買いに行った
 二人がどこかに行くと帰りが遅くなるのは周知のことなのでみんなで仲良くご飯を食べることにした

 黙々と食べていると桜が私のお弁当を覗いてきた、それに釣られたのか京ちゃんもまじまじと見ている、なんか食べづらい

「名前のお弁当美味しそう」
「あらほんと、自分で作ってるの?」
「うん、そうだよ、昨日の残りものとかが多いけど」
「それでも美味そうだね」
「宮崎くん」
「宮村だから!」

 みんなが私のお弁当を凝視している、今日はちょっと頑張ったけどそんな見るもんじゃないし、というか明音のお弁当も私が作ったから中身は一緒なんだけどなぁ
 ちらりと明音を見やると明音も困ったようにこちらを見ていて目があった、ちょっと照れる
 するとレミちゃんと翔が帰ってきて比較的扉に近い明音のお弁当を見つめる

「あ、やなぎんのお弁当包むやつピンクで可愛い!」
「はい、髪の色と一緒なんです!」

 にこにことお弁当を自慢し始める明音、そこで翔が何かに気づいたらしく口を開けた

「柳くんのお弁当名前と一緒じゃないか?」
「えっ」

 私と明音以外のみんなが固まった、それから急いで私たちのお弁当を見比べ出した
 明音のも私が作ってるよ、そう言えばみんなが騒ぎ出す、そんな騒ぐことかな

「ほんとだわ!」
「愛妻弁当ってやつだ」
「すごい……」
「レミも食べたい!」

「べ、べつにそんなに驚くことですか?」
「いつものことだよね?」

 明音と顔を見合わせて首を傾げれば、毎日かい! と誰かの声が聞こえた、これはきっと宮川くんかな
 それからずっと私と明音のお弁当を見てくるから食べづらい、なので仕方なく口を開いて一言

「はあ、明日はみんなの分も作ってくるよ」

 生徒会室が一層騒がしくなった、うるさいなぁ


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