×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

 風呂上がりにあまりにも暇だったから風介が風呂に入っている隙に部屋に侵入して適当に物色していたらその雑誌を見つけた。服を着崩した女が載った本、所謂エロ本を三冊。
 風介もいっちょ前に男の子なんだなあ、とページをめくっていけばスタイルの良い女がいやらしいポーズをとっている。なんとなくこの本の傾向はわかった。衣服を着用したまま肌を晒すエロチシズム、通称着エロというやつだ。
 他の二冊も同じ系統の本で風介の性癖がまるわかりだった。そのままページを進めれば読み癖のついているページがあった。詰まるところ一番性的欲求を高められるページ。
 浴衣を着た女がそれを着崩しているのだが別のところに問題があった。この女の顔が私に似ているということだ。あはは、そんなまさかね。

「……名前か?」
「そうだよー」

 声がして振り返れば風呂上がりの風介が肩にタオルを掛けて部屋の入り口に立っていた。湿ったままの髪の毛をタオルでがしがしと拭うので優しくしないと髪が痛むよと忠告をしてあげれば手付きが若干優しくなった、気がする。
 二冊目の読み癖が付いたページを捲ったところで、私が手に持っている物に気付いたのか風介が目を見開いた。

「な、ななな何をしている!」
「暇だったからつい」

 瞬時に私の手元から雑誌を奪い取った風介はあからさまに動揺を見せている、まあ隠していたエロ本を見られたら狼狽するのも無理はないか
 必死になってエロ本を背後に隠す風介と手持ち無沙汰な私の二人きりの空間をほんの一瞬だけ静寂が包む
 しかしそれも束の間で、見る見るうちに顔を赤くさせた風介が恐る恐るといった感じに口を開いた

「み、見たのか……?」
「うん、一応」

 あまりにも可愛い反応に驚いてしまったため変な返事しか出来なかった。何が一応だったのか私でもわからない。

「……見られたなら気付いているだろうから白状しよう。わたしは名前似の女優で性欲処理をするくらい、名前が好きなんだ」

 今度は私が赤面する番だった。やはりと言うべきかまさかと言うべきかあまりにもあっさりとした自白と告白に私の顔が熱くなる。
 お風呂上がりだったのも相まってか全身が熱い。そんな私の状況を知ってか知らずか風介が近付いてくる。
 目を泳がせながらも何をするのか見ていれば、風介の温かい手が頬に触れ高めの声が私の名前を呼ぶ。
 私が小さく返事をすれば今度はその手がするりと首筋を通ってパジャマのボタンを外し始めたではないか。

「って、ちょ、待って。そういうのはちゃんと順序をですね……!」
「そんな顔で見つめられて止めてあげられるほどわたしは紳士じゃないんだよ」
「やめ、あっ、ふあ」
「あの女優よりも何倍も色っぽい」

 嬉しいけど嬉しくないです。



戻る