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「名前さん、好きです」

 本日三回目の告白は同じ施設に住んでいて同じ学校に通う一つ年下の狩屋マサキくんからだった。マサキくんがお日さま園に来てからは何故かは分からないけれど私にべったりとくっついていた。
 住んでいる部屋も近いために勉強や施設のことなど様々なことを教えていたので弟みたいな存在だった。もっとも私より小さい子はみんな弟や妹みたいなものだから、ひどい話マサキくんもその中の一人に過ぎないのだ。
 それに私は小さい頃から好きな人がいてその人とはとっくに両想いでもあるので誰からいくら告白されても了承するわけがない。
 お日さま園内でも結構露骨に反応していたと思うけどマサキくんは気付かなかったのだろうか。

「私恋人いるよ?」
「……知ってる」

 恋人がいることに気付いていたのに告白するなんてよっぽど自分に自信があるのかただの阿呆かのどっちかだと思う。マサキくんはどっちだろうか。

「ヒロトさんだろ」
「そこまで知ってて何で告白したの?」
「あんなの、ただのロリコンだよ」

 うん、マサキくんは後者だった。私がヒロトくんと別れることは地球が逆回転しても有り得ないことだもの。きっとヒロトくんも同じこと言うよ。
 ふとヒロトくんから貰った可愛らしい腕時計を見やればもう迎えがくる時間だった。ヒロトくんは毎日同じ時間に私を迎えに来てくれる。どんなに大事な会議があっても必ず私を優先してくれる。
 だから私もヒロトくんを最優先したい。ヒロトくんが傍にいてって言えばどんな状況であってもヒロトくんの傍から片時も離れないでいれる。

 それにヒロトくんがロリコンなんて私を好きだと言ってくれた時点で気付いていた。じゃなきゃ九つも年の離れた女に愛の言葉なんて囁けない。
 でも誤解してる部分がある。ヒロトくんは少女なら誰でもいいというわけではなく私だから好きになったのだと言っていた。

「名前!」
「あ、ヒロトくん!」

 そうこうしているうちにヒロトくんの運転するスポーツカーが校門前に停まった、車から降りて両手を広げるヒロトくんに走って抱きつけばしっかりと抱き留めてくれる。
 マサキくんがどんな表情で私たちを見ていたのかなんて知らない。ヒロトくんと愛の言葉を囁き合ってからマサキくんに視線を移す。

「それじゃあねマサキくん」
「マサキ、部活頑張るんだよ」

(しにたくなった)



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