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 成人式が終わり愛たちと女子会という名の飲みに行って酒をたくさん呑んだ。その帰り道風介から助けてと三文字だけのシンプルなメールが届いた。
 風介たちは男だらけの飲み会に行くと言っていたからきっと飲み過ぎて帰れなくなったとかだろう。電話で今どこにいるのか聞けばヒロトの声が私が先ほど降りた駅名を言った。生きてるのはヒロトだけか。
 私と風介、それに晴矢とヒロトは家からの最寄り駅が一緒だ。たぶん一緒にいるだろう二人に頼ればいいのに、と踵を返した。
 駅に向かう途中で三人に出くわしたのだがそれはもう散々たる状況であった。ヒロトに肩を抱かれる風介は今にも吐き出しそうな表情で晴矢に至っては電柱の陰で吐いている。

「さて、帰って飲み直そう」
「待ってよ名前」

 素知らぬ顔で帰ろうとすればヒロトに止められる。巻き添えは食らいたくないんだ帰らせてくれ。

 仕方なしに晴矢の背中をさすりながら先ほど買ったコンビニの袋から飲料水を取り出して差し出す。さんきゅー、と今にも死にそうな声を出した。

「立てる?」
「おう、何とか……」
「とりあえず私の家行くよ。風介は家まで我慢して。ヒロト行こう」
「うん」

 風介が小さく頷いたのを確認して晴矢を支えながらここから一番近い私の家へ向かった。

 マンションの一室に入るや否や晴矢がトイレへ走る、ヒロトは風介を支えながらソファーへと寝かせた。目を瞑って唸る風介に冷蔵庫からポカリを出して持たせてやる。二日酔いなどにはただの水より多少塩分が入っている方がいいらしいよ。
 テーブルの上に置いたコンビニ袋にヒロトが気付いたらしく中から缶酎ハイを取り出して勝手に飲み始めた。楽しみにしてたのに。
 だいぶ吐いてすっきりしたのか少し清々しい表情の晴矢がトイレから出てきた。それと入れ替わるように風介をトイレへ押しやる。
 やっと一段落ついたので私もヒロトの酒盛りに加わることにした。そんな私たちを見た晴矢はソファーの上から眉を寄せた。

「お前らまだ呑むのかよ」
「誰かさんたちと違ってお酒強いもん。ねー」
「ねー。あ、名前は今日の女子会楽しかった?」
「うん、何か久々に女の子らしいことしたかも。そっちは?」
「結構盛り上がってたよね」
「男しかいなくてむさ苦しかったがな。頭いてー」

 晴矢が頭痛を訴えてきたので頭痛薬を取りに行きそのついでにおつまみを棚から取り出す。頭痛薬を飲んだ晴矢はソファーに沈んで動かなくなった。寝たのか。
 そしてヒロトはさも当たり前かのようにおつまみを食べているではないか、解せぬ。
 まあいっか、ヒロトと談笑しながら飲み交わしているとトイレで吐いたのであろう風介が居間にやってきて私の膝の上に頭を置いた。髪の毛がくすぐったい。

「吐いて楽になった?」
「……だいぶ」
「頭痛くない? 薬あるよ」
「大丈夫」
「風介いいな。俺も膝枕してよ!」
「ふざけ倒せ酔っ払い」

 髪の毛を梳くように手で撫でれば風介の腕が腰に巻き付く。ヒロトたちの前で甘えてくるのなんて珍しい。
 うっすらと汗ばむ額に張り付いた前髪を退かしそこに口づけを落とす。私も結構酔ってるのかも。
 ヒロトを見やれば何か画になってたよ、とにやにや笑われた。なにこいつうざい。

「もう一本もらっていい?」
「冷蔵庫に冷えてるの入ってるよ。私はソルティドッグ」
「りょーかい」



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