これの続き 名字先生は吹雪先輩と仲がよく、最近は二人で俺の練習に付き合ってくれるのだが先生が好きだと気付いてからはそれが辛くて仕方がない。 二人が話す度に胸が締め付けられて痛いのに、二人の関係を聞くのが怖くて聞くことができない。 今日もまた俺一人で練習をしていると先輩がきて、それから先生がやってきた。今日という今日は決心して二人の関係を聞くことにした。 お二人はどういったご関係なんですか、そう尋ねたら二人はきょとんと目を丸めてから顔を見合わせて微笑んだ。 「そういえばまだ言ってなかったね」 「私たち同級生だったのよ」 「同級生……」 その言葉を聞いて胸を撫で下ろした。どうやら俺の心配は杞憂に終わったようだ。ただの同級生か。 先生と先輩の関係はそれだけではなくなんと同じサッカー部所属でFFIではマネージャーとして先輩をサポートしていたそうだ。 どうりで的確な助言が出来るわけだと一人納得していると先生は買い物をしなくてはいけないらしく先に帰ってしまった。 名残惜しいが二人の関係を知って気分も晴れたので今日からはしっかりとした練習が出来そうだ。 「今日は調子がいいね。最近調子悪そうだったから心配したよ」 先輩たちのせいですとは言えるはずもなく、俺はただありがとうございますと返事をしただけだった。それにしても先生がフリーだと知ったとたんに調子が良くなるなんて俺はなんて現金な奴だ。 そのままパンサーブリザードをもう一発決めたところで今日の練習は終わりを告げた、気付けば空は暗くなっておりもう帰らねばならない時間らしい。 着替えて部室から出れば吹雪先輩がいて、どうやら俺を待っていてくれたようだ。途中まで送るよていう先輩の言葉に甘えて一緒に帰路についた。 歩きながらたくさんの話しをしたのだがそのどれもがサッカーの話だった。もうすぐホーリーロード地区予選の決勝だとか、本当のサッカーを取り戻すんだとか。 「雪村だけに言うんだけど僕と名前ちゃん付き合ってるんだ」 「えっ……」 後頭部を鈍器で殴られたような衝撃が俺を襲った。付き合うということはつまりそういうことであって、つまり俺の恋は始まる前から終わっていたらしい。 「近々プロポーズする予定なんだ」 「……」 先輩はきっと俺が先生に抱いている感情を悟った上で言ってくれたんだろう。諦めろという意味を込めて。 俺は何も言えなかった。無言のまま先輩て別れて、家に駆け込んで母さんたちの言葉も無視して部屋に逃げ込んだ。 三日後のホームルームで名字先生が結婚するのだと知らされた。 |