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 風介は一般的に頭が良く運動もできる文武両道な人間だと思われている、さらにはイケメンだとはやし立てられている始末
 まあ運動が出来てイケメンなのは私も認めるが残りの一つである頭が良いというのは異議を唱えたい、風介は頭が良いわけではない
 授業中に必死に板書をしている姿を見受けられるがそれは大きな間違いである、彼が必死に書いているのは俗に言う厨二病ノートである、彼は空想ノートと呼んでいるが中身を見れば彼に好意を寄せている女の子がどん引きするレベルだ
 そんなものを書いているもんだから授業内容なんて理解しておらず、定期テストは一週間前から私が付きっきりで彼に勉強を教えているから学年順位二桁を維持している、ちなみに自慢ではないが私は学年順位一桁である
 そして今日もまた期末テストの勉強会を私の部屋で行っている最中である、風介は要領がよく飲み込みも早いので教えるのは比較的楽で、私もテスト前の復習となっている
 しかし、如何せん風介は勉強に対する集中力がない、サッカーをするときは真剣そのもので格好良いのに、非常に残念である

「名前、何か失礼なことを考えてただろ」
「うん、それよりプリントできた?」
「あ、ああ……」

 腑に落ちないといった表情の風介からプリントを受け取り答え合わせをしていく、私特製のテスト対策プリントは見事に満点
 満点のプリントを返して、ご褒美のアイスが冷凍庫にあるよと示せば彼はたちまち台所へ、尻尾が生えていたならば千切れんばかりに揺れているだろう
 嬉々とした表情の彼は棒アイスを食べながらテーブルを挟んで私の前はなく、ベッドを背もたれにしている私の横に同様に座った

 黙々とアイスに食らいつく姿はいつもより幾分か幼く見え、思わず彼の頭を撫でてしまった、彼は子供扱いされるのがあまり好ましくないらしい
 特に私がすると機嫌を損ねるのだが今日はそうでもないらしい、一瞬だけ私を睨みつけたと思ったらそのままゆっくりと瞼を下ろして気持ちよさそうにアイスを食べ進めた

「珍しい、いつもなら怒るのに」
「今日だけだぞ」
「はいはい、あ、アイス私にも一口ちょうだい」
「!」

 さすがにこれは断られると思った、三度の飯よりアイスが好きな風介がアイスをくれるのは皆無に近い
 案の定風介は眉間にしわを寄せ私とアイスを交互に見つめた、それからアイスを一舐めすると私の方へて向けてきた、あら意外

「くれるの?」
「私の気が変わらないうちに食べるがいい」
「ふふ、ありがと」

 素直に差し出された棒アイスを舌を出して舐める、甘いなあ、なんて考えながら勉強で疲れた脳に糖分を補給する
 甘さと冷たさを堪能するように何回も舐めているとアイスが震え始めたので風介をちらりと見た、彼は私を見て頬を朱色にさせていた

「風介、やらしいこと考えないでよね」
「あ、う、す、すまない」


(思春期な男の子)



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