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「#幼馴染」のBL小説を読む
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- ナノ -

「あ、円堂くんこんにちは」
「ああ名前じゃないか、どうしたんだ?」
「買い出しの帰り、マサキくんはどう?」
「あいつ上手いな、それにサッカーが好きって気持ちが伝わってくるよ!」

 買い出しの帰りに雷門中の前をたまたま通りかかったのでサッカー部の様子を見にグラウンドへ足を運べば円堂くんこと円堂監督が旧部室の前に立っていた
 円堂くんとはエイリア時代からの仲だ、つまり私は元宇宙人ということで大人になった今はお日さま園でみんなの世話をしている、結婚していないのに子供がたくさんいるみたいで楽しい
 マサキくんは二年前に園に来た子で、孤高の反逆児と言わんばかりに心を開かなかったが私にだけはすごく懐いていた、ことあるごとにマサキくんは私に引っ付いていた
 そんなんだから瞳子姉さんの推薦で雷門中に通っているマサキくんが気になって仕方がなかった、今日は良い機会だからと寄った旨だ、けれど円堂くんの話を聞いて安心した
 そういえば、グラウンドを見やるが誰もいない、円堂くんに聞けば練習が終わってみんな着替えているらしい

「……ねえボール蹴って良い?」
「ああ、構わない、そうだ、俺がキーパーやるよ!」

 そしていつの間にやら円堂くん対私のPK対決みたいになっていた、スカートを穿いているため大それたシュートは出来ないなぁと思っていたら春奈ちゃんがハーフパンツを貸してくれた、いつの間にいたんだ
 エコバックをベンチに置いてボールを数回リフティングし円堂くんの準備が整うのを待つ、軽く手を叩いて私を呼ぶ円堂くんの声にゴール前に行く
 真剣な眼差しの円堂くんに私も息を整え円堂くんと対峙する、久々のサッカーだけどたぶん大丈夫、私ならやれるはず
 ボールを蹴り上げ冷気を纏わせボールを凍らせる、そしてそのままゴール目掛けて蹴りつける

「ノーザンインパクト!」
「っ、ゴッドハンド!」

 腕は落ちていなかったがやはり現役ではない分威力の落ちたそれをゴッドハンドで取った円堂くん、やっぱり伝説のゴールキーパーは引退していても凄いや
 そしてお察しの通り私はダイヤモンドダスト所属です、この技を教えてくれた人はつい最近私の薬指に婚約用のリングを通してくれました、ノロケですが何か
 今の一発でもう満足してしまった私は円堂くんと互いを称え合いながら握手をして、春奈ちゃんにハーフパンツを返した、すると春奈ちゃんが拍手し始め、その音が増えていった

「今の必殺技格好良かったです!」
「監督も凄いけどお姉さんも凄いですね!」

 そこには雷門中サッカー部のメンバーが制服姿で並んでおり途端に囲まれてしまった、マサキくんの姿はない、まだ部室かな

「姉さん!」
「あ、マサキくん」

 そう思っていたら部室から出てきたマサキくんが私に気付いて抱きついた、当然みんな驚いており狩屋のお姉さんだったんですか、とか色々聞かれた
 なんかもう面倒だったのでマサキくんの姉ですとだけ言っておいた、というかこの某電気ネズミを彷彿とさせる小さい子が可愛い件について

「姉さん何でここに?」
「買い出しの帰りについでたからマサキくんを迎えに来たの」
「えっ、じゃ早く帰ろうよ! 荷物は俺が持つから」
「私が持つから良いよ、部活で疲れてるでしょ」
「これくらい平気、いこ」

 ベンチのエコバックを掴んだマサキくんに手を引っ張られる、円堂くんと春奈ちゃんにまたねと挨拶をして、雷門サッカー部員に手を振ってから家路についた

 先ほどからマサキくんが喋らない、握った手は離れることはなくむしろ強く握られている、きっと焼き餅だろう、可愛いな、夕食はマサキくんの好きな物にしてあげよう

「……姉さん、涼野さんと結婚するんでしょ?」
「たぶんそうなるかな」
「だったら俺を息子にしてよ」
「ふふ、そしたら姉さんが母さんになっちゃうよ」
「うっ、じゃ母さんだけど姉さんって呼ぶよ!」
「ふふ、なにそれ」


涼野は知らない間に父親になった!▼




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