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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 目の前の女の子は俺の恋人で、昼休みにも関わらずお昼ご飯を食べるわけでもなく、お弁当を食べる俺をただ見ているだけ、ちなみに色合いとバランスの取れている見た目も味も申し分ないお弁当を作ってくれたのはもちろん目の前でポーカーフェイスを決めている名前だ、将来は良いお嫁さんになるね、もちろん俺のだけど、そんなことを考えている間も名前は無表情で俺を見詰めている
 元々俺の前の席だから昼休みには椅子を回転させ俺と一緒に名前の手作りのお弁当を食べるのが日課だった
 だけれど今日に限っては違っていて、いつも通り椅子を回転させお弁当を出したのだが一人分しか無かった、どちらかの分を作り忘れたのだろうかとも思ったが一人分作っているのだからそれは無いだろう、ならば意図的に一人分しか作ってきていないとなる、そうなるとこれは名前の分なのだろうとも考えたがその考えは違っていたようで、包んであるナフキンは俺用の赤色であった、ちなみにナフキンの色はお互いの髪の毛の色で名前は黄色だ、話を戻して俺の分があるということは名前の分が無いということで、どうしたものか尋ねれば要らないらしい、成長期の女の子が欠食するのは由々しきことだし俺だけが食べているというこの状況が何か嫌で綺麗に焼かれた出汁巻き卵を名前の口元に持っていけば先ほどと同じ声色で要らないと一蹴されてしまう、こんなに美味しいのに何故食べないのだろう
 本当に食べなくて大丈夫なの、要らない、どうしちゃったのいつもの名前じゃないよ、いつもの私だよ、やけにさっぱりした会話をして再び名前は黙ってしまった、仕方ないから俺はただひたすらに弁当を頬張るのみ、出汁巻き卵もシュウマイもコールスローサラダも全て手作りなのだ、早起きして作っているのか尋ねたらシュウウマイなど作り置きできるものはたくさん作っておいたものを使い、サラダ系は前日に作っておいたもので、出汁巻き卵などは当日に作ったとのこと、本当に料理が上手だな、俺なんて以前調理実習の時にクラスメイトに出来そうなのにな、天は二物を与えずとはまさにこのことだな、などと散々に言われた、確かに俺は料理は出来ないけど名前がいるから生きていける、そのことを名前に話したら微かに口角を上げ目を細めながらヒロトが死ぬまで私がご飯を作ってあげるからね、と言ってくれた、やっぱり俺は一生名前と生きていくんだと再び実感し、気分が高揚した
 こうしていつも俺ばかりが幸福を貰っているのはどこか不公平であると感じてしまい俺に出来ることで何か欲しいものはあるか聞いてみた、すると名前は、私はヒロトが生きていてくれたそれだけで何も要らないよ、そういってくれてまたもや俺の心に幸せがこれでもかというくらいに満ち溢れて今すぐにでも名前と婚姻の儀を済ませたい衝動に駆られてしまうが何とか持ちこたえ心を落ち着かせる
 走行しているうちにお弁当の最後の一口を食べ終え、予鈴が鳴り響く、本当に食べなくて平気なのだろうか、今さらになって心配が募ってきた、本当に大丈夫かい、俺が平らげたお弁当箱を片付け名前にそう聞けば満面の笑みを向けられた

「最近ヒロト見てるだけでおなかいっぱいになるから大丈夫」
 



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