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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 ここ数日名前の調子が悪かった、部活に身が入っていなかったり授業中に居眠りをしたりと、普段の名前からは想像出来ない姿だ
 そういえば先月も同じ様な状態だった日があって、どうしたものか尋ねようとしたのだが一週間くらいでいつも通りに戻っていたのを思い出した
 今回もまた一週間程で元気に戻るのだろうか、だとしても恋人の体調不良を放っておけるわけがない

 部活が終わり、鍵を締めるために残った俺と、畳んだタオルを棚に戻している名前以外、部室には誰もいない
 今日もまた名前は調子が悪そうで、今が聞くチャンスだと俺は考えた

「名前、最近体調が悪そうだが大丈夫なのか……?」
「あー、うん、大丈夫、あと三日くらいで元に戻るから」
「あと三日くらい?」
「うん、たぶんそのくらい」

 だるい、と室内に設置してあるベンチに横になり、右手はお腹を押さえ左手を目元に乗せているために晒された二の腕に生唾を飲み込む
 さらには汗でしっとりと濡れているうなじに、ちらりと見える太もも、思春期の男には耐えきれるかわからない
 刹那、うう、と唸り声が聞こえてきて頭から邪念を振り払い名前の顔を覗き込めば弱々しく笑った

「おなかいたい」
「腹が痛いのか」
「うん、このあたり」

 気の利いた言葉を返すことができずに名前の言ったことを反復してしまった、なのにも関わらず名前は俺の手を取り自分の腹にそっと乗せた
 ちょっと待て、これはやばくないか、腹と言っても限りなく下半身に近い腹、つまりは下腹部というやつで
 手を離そうにも名前の手が握っているため離すことは出来ない、微かに震えている手を振り解くほど俺は非道い奴ではない

「つらいか……?」
「うん、でも生理だからこればっかりは逃げられないし」
「せっ……!」
「あれ、知ってて話しかけてきたんじゃ……」

 痛みの原因を知った俺の顔に熱が集中する、それを見た名前もまた顔を染めており、すぐに俺の手を解放した
 それでも俺の手は名前の腹の上から退くことはなく、ゆっくりと円を描くように動かす
 ありがとう、と遠慮がちにお礼を言われたので力加減は大丈夫らしい、それにしてもここに子を身ごもるのだと考えると実に神秘的だ
 男の俺は一生感じることのない痛みに耐える名前はやっぱり強いと感じる、そんなの女子ならみんなそうだと言われるかもしれないが名前はその痛みに耐えながらもちゃんとマネージャー業をこなしていたのだ
 将来ここに俺との子供を身ごもるのだという考えてにまで至ってしまい、気付けば俺の方がお礼を言っていた

「名前、ありがとう」
「えっ、何が?」


(いたいのいたいのとんでけ)



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