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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 放課後の委員会で当番は俺と先輩だけだった、放課後はほとんど生徒は来んから必然的に先輩と二人きりになった
 俺は受付スペースで携帯をいじっとったが先生も司書さんもおらんから俺を注意する人は居らん、もちろん先輩が俺を注意するわけも無く、本棚の前に立ち尽くして本を読んどった
 ここの本はもう読みつくしたわ、いつだったか先輩がそう言っていたのを覚えている、俺はそこまで本が好きやなかったからふーん、と聞き流したことやけど実際にここの本を全て読むとなると根気も体力も要る、やっぱり先輩は凄い人やと実感した
 図書室内を見渡せば綺麗に並べられた本とそれを読んどる先輩しか視界にはおらんかった、本当に二人きりなんだと思い知らされた
 なぜかわからんけどこれはチャンスだと思った俺は携帯を閉じ、受付に置くと先輩の元まで足を運ぶ
 俺が近づいてるのに気づいたんか先輩が本を閉じて本棚に戻す、それだけの動作なのにそれさえも優雅に感じられる

「先輩、」
「終わりまではまだ時間があるわよ、もしかして飽きたの?」
「っ、それもありますけど」

 飽きていたというのも動いた理由のひとつだ、だけど大きな理由やない
 先輩に詰め寄って壁まで追い込む、先輩の表情に乱れはなくいつも通り余裕の含まれた笑みだった
 俺の意図を読み取ったのか少し呆れたような、駄々をこねる子供を見るような表情に変わった

「どうしたの? 光」
「先輩が好きです、俺のもんになってください」
「ふふっ」
「返事、ください」
「そうね、光の身長が私より大きくなったら出直してきなさい」

 そう先輩は綺麗な笑みを浮かべると俺の腕をすり抜ける、受付まで行って軽くパソコンを操作する
 今日は早いけど終わりにしましょう、そう言って先輩は受付下に置いてあったカバンに手をかける

「鍵閉めたいから早くなさい」
「あ、はい……!」

 鍵を持って微笑む先輩の顔は夕日に照らされて綺麗やった、俺が図書室から出れば先輩が鍵を閉めてそのまま職員室に戻しにいく
 先輩は終始余裕を含んだ立ち居振る舞いで、悔しい反面、学園のマドンナなんて呼ばれているのに納得がいった
 どうにかしてその余裕をなくしてやりたい、けどそれは俺じゃダメなんだ、きっとそれが出来るのはこの学校でただ一人

 氷帝の日吉やないけど下剋上や、先輩にも、部長にも




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