昼休み、目の前の男はお弁当を食べ終えるやいなやお菓子の袋に手をつけた、普通より多いと思われるお弁当を食べ終わった後の行為とは思えない、ありえない それでも食べ続けるこの男、いつか豚になってしまって食材にされるのではないだろうか、とすら思えてきた そうしたら高級食材として三ツ星レストランとかで商品にされてしまうのかな、あ、でもブン太は鼻がきくからトリュフ豚になるかもしれない でもどちらにせよ嫌だな、ブン太は私のものなのだから 机にひじを付いて、美味しそうにスナック菓子を頬張るブン太を眺める、口の周りに粉が付いていて滑稽だね ふふ、と私が笑ったのを見て気を良くしたのかブン太も、にしし、と笑った お菓子を詰め込んでまん丸い頬に幸せそうに細められる瞳、筋肉と贅肉が程よく付いた体 「美味しそう」 「ん? 食うか?」 「いや、いらない」 なにを勘違いしたのかブン太はスナック菓子の袋を向けてきたのでやんわりと断りを入れる そうか、そう言ってブン太は再びお菓子に貪りついた、美味しそうなのはお菓子じゃなくて君だよブン太 じっと見つめればブン太は私の視線に頬をほんのり赤らめてもじもじと目を泳がせる、ふふ、可愛い 「ねえ、食べてもいい?」 「んだよ、さっきいらねえって言ったくせに」 「うん、いらないよ」 「は? 何言ってんだよ」 「だからお菓子はいらないって言ってるの」 「だったら何を……」 机に左手を置き身を乗りだす、そのまま右手でブン太の頬を包んで真っ直ぐ私だけを視界に入れさせる そのまま顔を近づければ目に見えてブン太が焦りだすがそんなの無視だ 周りの声が騒がしい、私たちの邪魔をするな、そう思うも私とブン太の距離は縮まっていく、もう息がぶつかる距離だ 「ひゃうっ」 かぷり、ブン太が可愛い悲鳴を上げたとほぼ同時に私の口にはブン太の頬が含まれていた ねっとりとブン太の頬を堪能する、もちもちしていて肌触りも良く味も良い、総評美味しい 必死に逃れようとするブン太を押さえ込む、卑猥な水音に似たそれが耳に心地よい 自然と噛む力も強くなってしまう、でも仕方ないでしょう、ブン太が美味しいのがいけないんだから 「ん、や、やめ、痛っ……!」 「美味しい」 口を離せばブン太の頬は唾液で ベトベトになっている、歯形もしっかりと付いていて私としては満足だ 「何すんだよ!」 「ブン太が美味しそうだったからつい」 あっけらかんと言う私にブン太は、美味くねーっつの、と顔を更に赤くした 唾液塗れの頬をなめ上げてみればブン太はまた悲鳴を上げる、ああ、美味しい、もっと食べたい 私もさっきお昼ごはん食べたばかりなのにな、でもブン太ならいくらでも食べれる気がする 欲情カニバリズム |