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「そういや光、善哉Pってあんたやろ」
「……何で分かったんすか」
「勘」

 今日は部活がないから放課後に名前さんとカラオケに来ていた、部屋に案内してもらって曲を選ぼうと思った矢先の事件
 確かに善哉Pは俺や、活動はミクの曲を作っている、累計作曲数は二桁あり、お陰様でそこそこ人気もある
 名前さんはリン厨やから気付かへんと思うとった俺の考えが甘かった
 名前さんはランキングに入っているボカロ曲はなんとなく聞いとるらしい、それで勘で分かったとか凄すぎやろ

「それがどうしたんすか?」
「##name4##って歌い手知っとる?」

 まぁ知っとるやんな、と名前さんは笑った、もちろん知っとる
 ##name4##は善哉P、つまり俺の曲しか歌わん歌い手やった、熱狂的なファンもおってランキング入りしとったのを覚えている
 なにより声質が名前さんに似とって、しかも関西訛りがそれを助長しとった
 俺にはありがたい歌い手さんで全曲マイリスト登録しとる、さらに名前さんに似とるからiPodに全部入れとる、名前さんには悪いが##name4##は俺のイチ押し歌い手さんや

「##name4##って善哉P好きやんかー」
「そうっすね」

 ##name4##は善哉Pが好きらしく、動画の動画説明文に『善哉Pは俺の婿』って書いてあったり、コメントやタグなんかにも『善哉Pのストーカー』とか『善哉P厨』などあるくらいだ
 善哉Pが俺だと気付いた名前さんは##name4##に嫉妬してくれてるんやろか、だったらめっちゃ嬉しいんやけど

「名前さん、##name4##に嫉妬しました?」
「まさか、するわけないやん」
「……そうっすか」
「あーもー、光かわええー」

 ##name4##に嫉妬していないとはっきり言われてへこんどると名前さんが抱きしめてきた、なんや照れる
 それから名前さんは軽快な手さばきで何曲か曲を入れていく、あまり画面を見ていないあたりよう歌っている鏡音リンの曲やろう
 そう思うとったらイントロが流れてやっぱりリンの曲やった、いつも聴いとる名前さんの歌声はいつも通り心地良うて、抱きしめていた体を抱きしめ返した
 名前さんは気を良くしたのか間奏の時俺にキスをした、そんなんでさっきまでの落ち込んだ気分なんて吹っ飛んだ

「名前さん好きや」
「私も」

 それだけ言うと名前さんは二番を歌い出す、目を瞑って聴けば聴くほど似とる
 俺は何か曲を入れようと曲探しをしとった時、一曲目が終わり二曲目のイントロが流れて、そこで気付いた
 これ俺の曲やん、いや正確には俺が善哉Pとして作ったミクの曲や、そういや言い忘れとったが俺の曲は何曲かカラオケ配信されとるんや
 しかもこの曲は俺の手掛けた曲ん中でも一番再生数が多く、##name4##が歌ったのも一番人気で俺のお気に入りでもある
 でもなんで名前さんがこの曲を選んだんかわからんかった、それと同時に名前さんがこの曲を歌ったときの歌声に興味があった
 ##name4##に似とるんやろうか、名前さんには悪いがこの曲を一番上手く歌えるんは##name4##だけやと思うとる

「善哉Pしっかり聴きや」

 名前さんはにやりと笑うと息を吸い込んだ、そして歌う

「嘘やろ……」

 俺の曲を歌う名前さんの歌声は##name4##そのもので、俺は驚くしか出来んひんかった
 驚く俺を見た名前さんは悪戯が成功した子供のように笑って歌い続ける

 結局歌い終わるまで俺は動くことが出来んくて、歌い終わった名前さんが声を掛けてくれてようやく頭が働いた

「……名前さんが##name4##?」
「せやでー、ドッキリ大成功や!」

 実は善哉Pが光やて知ってから歌い手始めたんやでー、と笑うとる名前さん、つまりずっと前から知っとったわけや
 そうなると名前さんが##name4##に嫉妬せえへんのも頷ける、あと善哉Pを嫁やのうて婿って表現しとるのも納得いった、点と点が繋がった
 っていうか##name4##は善哉Pが好きなんやから、名前さんは俺が好きってことやろ、ネット上でも愛されてるってことやん、やばい顔熱い

「善哉Pは俺の婿」
「俺##name4##の大ファンやねんけど」
「私も善哉Pの大ファンや、だから次の新曲はリンちゃんにしてえや」
「リン厨かっこわらい」
「ミク厨爆発しろ」

 それから二人でボカロ曲を歌いまくった、もちろん名前さんには俺の曲を、カラオケに配信されとる分全部歌うて貰った
 今度の新曲は##name4##に歌うてもらおうと決めた、そんで動画説明文にはこう書くんや


名字は俺の嫁




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