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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 盛大な拍手と歓声が今でも耳に残っている。私とアイリスが主役を務めた公演は今日も大成功に終わってほっと胸を撫で下ろす。
 いつまでも余韻に浸っている時間は無くて、楽屋へ行って着替えたりファンからの贈り物を仕分けたりと大変なのである。

「名前早く楽屋行こ!」
「待ってよアイリス」
「ふふっ。名前もアイリスも本当の姉妹みたい」
「まあ舞台でも姉妹役でしたから無理もありませんわね」

 さくらさんとすみれさんに笑われながらもアイリスに引っ張られているために返事が出来なかった。
 すみれさんが言うように今回の舞台は私とアイリスが生き別れの姉妹を演じていたため私もアイリスが本当の妹に感じたこともあった。
 マリアさんに走ると転ぶわよ、と注意されてもアイリスは何のその。私もアイリスが手を握って離してくれないため転ばぬように注意を払った。

「わあ! 見て見ておっきなジャンポールだよ!」

 控え室にはファンからの贈り物が所狭しと並んでおり、やはり主役を務めた私とアイリスへの贈り物が若干多かった
 私への贈り物だと積み重なった山に目的の物を見付けた、散らないようにそっと置かれていたそれをゆっくりと抱き寄せる
 手紙が添えられた真っ赤なチューリップの花束。私が出ている公演の日はどんな脇役だったとしても必ずチューリップの花束と手紙をくれる人がいる。
 手紙はいつも綺麗な字でこの間の公演のことや自分のことなどを書いてくれていて他のファンレターも大切だけどより大事に読むことにしている。

「おっ、今日もチューリップの君からかいな」
「毎日毎日飽きないでーすね」
「もう部屋中チューリップだらけなんじゃねえか?」

 カンナさんの言ったとおり私の部屋は一面チューリップで真っ赤だ。みんなはこの花束をくれるファンをチューリップの君と呼んでいるけど手紙にはちゃんと差出人の名前が書いてある。
 基山ヒロトさん、それが真っ赤なチューリップの差出人の名前。私より二つほど年下の彼はお小遣いが許す限り私の公演を毎回観てくれているらしい。
 まだ会ったことのないヒロトさんに想いを馳せて、今日もチューリップを花瓶に生けた。



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