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- ナノ -

「変な構え方よね」
「……名前先輩、何か用ですか?」

 日吉はムスッとした表情で名前を軽く睨みつける
 それもそのはず、日吉は今まで自主練習をしていて疲れている上、冒頭の台詞を聞かされたのだ
 日吉が睨むのも無理はない

「ピヨひどーい、睨むことないでしょー」
「別に睨んでませんし、この構えを見るの初めてでもないでしょう?」
「そうなんだけど、いつ見てもって事よ」
「なら、なおさらムカつきます」
「ひどーい……でも、綺麗よね、“演舞テニス”」
「…は?」

 名前は日吉に背を向け数歩進んだ先で立ち止まる
 突然何を言い出すかと思ったら…と日吉は少々あきれた顔で名前の背中をを見つめる
 名前は、視線を気にせず続けた

「だって、本当に舞を踊ってるみたいで輝いてるわ」
「先輩……」

 言い終わると同時に名前は振り返り、日吉に照れたような笑顔を見せる
 その瞬間、日吉は思った、この人が好きでよかった
 どんな人より自分を見てくれている


(綺麗なのは貴女だ)



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