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- ナノ -

 今日の目覚めは最悪だった、原因は夢だ、最悪な夢を観てしまったのだ
 ナマエがジョウトに里帰りして、そのまま帰ってこなくなってしまう夢だった
 しかもナマエは地元のジムリーダーと付き合ってしまうという俺にとって史上最悪な夢だった、夢でよかった
 っていうか寝取られかよ、俺にはそんな趣味ねえし、まじありえん胸くそわりい、アフロがあったらむしってるとこだ

「あー、すっきりしねぇ」
「何がすっきりしないのかしら?」
「……ナマエ、」

 気分転換しようと外を歩いていたら白衣を纏ったナマエに出会った、これは運命というやつだろう

 ナマエはジョウト地方出身の大学教授で、今は仕事の都合でシンオウに来ている
 俺はナマエが好きだ、公言しているくらいだ、会う度に想いを告げているが毎回上手くかわされてしまう
 やべえ今ナマエの顔見たら泣きそう

「えっ、デンジ泣いて……」
「うるせー」

 誤魔化すように俺より少し低いナマエを抱き締めたのだが、どうやら俺よりナマエの方が大人だったようだ

「ふふ、デンジくんは甘えん坊ですねー」
「子供扱いすんな」
「泣いてるくせに?」
「……変な夢見た」
「どんな夢?」

 子供をあやす母親のように優しく聞いてきたので、ぽつりぽつりと今日見た夢のことを話した
 俺の話が終わるまでの間ナマエは文句一つ言わずに聞いてくれて、時々俺を落ち着かせるように背中を撫でてくれた

 道の真ん中だが早朝ということで誰もいなかったのが俺にとって幸運だったと思う
 泣いてナマエにあやされているところをうざい赤アフロに見られたら日には俺は死ぬだろう
 俺の話を聞いたナマエは笑っていて、照れくさくなったので俺は話を逸らした

「そういやナマエはなんでこんな朝早くに、散歩?」
「あ、そうだった、あたし明日から一週間ほど留守にするって言いに来たの」
「え、なんで?」
「エンジュに里帰り」
「あれ、何これ、デジャヴ?」



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