マツバは私のために部屋を用意してくれたの、マツバの部屋のすぐ隣の和室の八畳間、私には十分すぎるくらい広かったのだけれどそれだけ私への愛情が深いということだと思うの 私はマツバに愛されている、そう考えるだけで全身の血が沸騰してマツバのことしか考えられなくなる 今日マツバはジムの挑戦者とバトルをすると言っていたわ、もちろんマツバが負けることなどありえないの、だってマツバだもの ああ、その挑戦者が女の子だったら嫌、でも男の子でも嫌よ、マツバと話してマツバと目を合わせてマツバとバトルしてマツバと握手をするなんて考えただけで腸が煮えくり返りそうになっちゃう ああ、マツバ早く帰ってこないかしら 「ナマエ!」 「マツバお帰りなさい」 息を切らしたマツバが勢いよく襖を開けた、急いで帰ってきてくれたのね私の為に、私は嬉しいわ、こんなにもマツバに愛されているんだもの マツバは私の腕を見るなり血相を変えて腕を掴んだ、少し痛い……、けどマツバに掴まれてると思うと幸せでしかないわ、ああ、マツバが私を見つめてる、私だけを見ている 「それはもうやらないでくれって言っただろ!」 「それって……ああ、これのこと?」 マツバによって手の中のナイフが取り上げられてしまったけどいいの、マツバになら、だって今は必要ないもの 私はマツバを待つ間ナイフで腕を刺したり切ったりしてすごしてるの、だってそうしたらマツバが早く帰ってきてくれるのよ、私が傷つくのが嫌だから早く帰ってきてくれるの、私のことを愛してくれているから早く帰ってきてくれるの 「なぜ自分を傷つけるようなことをするんだ」 「だって、こうしたらマツバが早く帰ってきてくれるから……」 マツバに聞かれたからつい言ってしまったわ、マツバに早く帰ってきて欲しいからなんて理由、幼い子供っぽくて少し恥ずかしいから秘密にしておくつもりだったのに、マツバに聞かれたから何でも答えてしまうわ、それだけマツバの声には魔力があるのね、素敵 「そんな理由でこんなことを……?」 「そんな理由って……、私はマツバがいないと何も出来ないの」 「ナマエ……」 本当よ、マツバが居なければ私は今生きていないわ、マツバが私の生きる理由なの、私にはマツバしかいないの マツバ好きよ愛してる、そう言ってマツバを見つめれば当たり前のように見つめ返してくれる、ああ、マツバの瞳はいつも綺麗 それからマツバはこの部屋に常備してある救急箱を持ってきて手当てをしてくれたの、傷跡が残ったらどうするの、ですって、愛されてるってすごく伝わってくる、だって愛されてるからこそ私の心配をしてくれているのだもの 「マツバ好き、愛しているわ、言葉なんかじゃ足りないくらい」 ヤンデレの彼女に死ぬほど愛されて夜も眠れない話 |