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 テレビでペット特集の番組を二人でソファーに座って仲むつまじく観ていると、突然デンジが真剣な表情で私を見つめた
 普段は無気力改造魔ニート野郎のデンジが、私の両肩をしっかりと掴んで真剣な顔をしているものだからよっぽどな内容なのでは、と内心緊張していた
 しばしの沈黙の後、デンジが再び口を開いた

「ナマエ、犬プレイしよう」
「…………は?」

 突然のことに私は驚きと戸惑いからか呆気にとられてしまった、今の私の顔はきっとアホ面
 突拍子のないことを言うのはいつものことだったが、今日に限っては気が狂ったと思わざるを得ない

「大丈夫だ、こんなこともあろうかと首輪とリードは買ってある」
「いやいやいや、そういう問題じゃない」
「なんだ、恥ずかしいのか? そんな仲じゃないだろ?」
「いや、まあ、そうだけど……」

 私とデンジは恋人という関係だし、そういうことはしっかりとやってきている
 更に言うならば一般的にマニアックと呼ばれるようなプレイもしてきている
 なのでメイド服やナース服も少々抵抗はあるがすんなり着れる自信がある、いや、そんな自信はいらない
 だからと言って、こうも突拍子もなく犬プレイを要求されても困る
 っていうか、こんなことってどういうことだよ

 次の瞬間、私はさらにアホ面になってしまった

「ほら、散歩行くぞ」

 開いた口が塞がらないとはこのことで、まさか彼にそんな趣味があったとは……
 まあ、数十回に及ぶデンジとの行為の内私が主導権を握って彼を罵ったりとかなぶったりといったことは多々あった
 しかしほとんどの行為が彼に主導権があり、私は彼になぶられまくったのでそうではないと思っていたので、今のデンジの姿が信じられなかった

 今デンジは自ら首輪を装着し、繋がったリードの先を私に渡したのだ
 まさかデンジにMっ気があったなんて、と半分笑いそうになりながらもリードを受け取ってみる

「今日は軽くジム内な」
「いやいや、デンジ大丈夫?」
「何が?」
「デンジってマゾだったの?」
「何言ってんだ、俺はバリバリSだから」

 お前も知ってるだろ? とこれまた真剣な表情だったのでそうだね、としか言い返せなかった
 普段からSなのは知っていた、というか普段の行為から痛いほど理解している
 一応私もSっ気があるので何回かそういうプレイをしたことがあったが、まさかあの時に目覚めてしまったのだろうか
 そう考えると背筋がゾクリとし、変に興奮してしまった

「お前Sっ気あるじゃん」
「まあ、私はどっちもいけるけど……」
「あ、俺もそれ、両方いける、今日はMな気分」

 だから早くしろ、とデンジはリードを握っている私の手を引っ張った
 その拍子に倒れそうになったがなんとか体制を整えることに成功した
 握っているリードをチラリと見て、私も順応が早いなあと自嘲気味に笑う
 今日はSっ気たっぷりでいきたいと思う
 誰もいないジムだけでは飽きたらずきっと外にも出て行くんだろうな、と目の前を四つん這いで歩くデンジを見つめる


(やばい、ある種の興奮を感じている)



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