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 これの続き




 あの日以来すっかりワグナリアというファミレスの常連になってしまった僕。名前さんがバイトの日は必ず終わるのを待つことにしている。
 名前さんは高校二年生で僕はたまたま母校である白恋中に来ていた名前さんに一目惚れ、猛アタックの末に晴れてお付き合いさせていただけることになったのだ。
 今ではあんなことやこんなこともしてしまったり、というのは嘘だけど、実際はキスまでしかいっていない。あんなに猛アタックしていたくせにいざとなると何も出来なくなる僕ってへたれ。
 誰だよ吹雪は女をとっかえひっかえという噂を流した奴は、女の子が勝手に寄ってくるだけで本当の僕は一途なんだ。

「お待たせいたしました。オレンジジュースになります」

 名前さんに教えてもらって従業員さんともだいぶ仲良くなった気がする。今オレンジジュースを運んできてくれた眼鏡のお兄さんは小鳥遊さんだ。
 ジュースを飲みながら他のお客さんの注文を取っている名前さんを見詰める。ここの制服可愛いなぁ。
 名前さんはスタイルが良いから何でも似合うんだよね。僕よりちょっと背が高いからそれだけが悔しい。まあ年の差を考えたら仕方のないことだしもうすぐ抜かしてみせるさ。

 オレンジジュースがなくなって氷がからんと音を立てた頃に名前さんのバイトは終わった。
 お待たせ、と僕の目の前に座った名前さんにお疲れ様と女の子もイチコロの極上スマイルを向けるも、名前さんはもろともせず。
 逆にありがとうと天使の微笑みというカウンターをくらい僕の顔が熱くなった。

「士郎くん、顔赤いね」
「名前さんのせいだよ」

 拗ねたように頬を膨らませれば名前さんの指がそれをつぶすように頬を押す。端から見たらただのバカップルなんだろうな。
 今は部活がない土曜日の午後二時、これからどこへ行こうかと話し合っていると種島さんがやってきてパンケーキをテーブルに置いた。

「ぽぷらちゃん、これ……?」
「あのね、これはお店からプレゼント!」
「わあ、ありがとう! みんなにもお礼言っといて、美味しそう」
「ありがとうございます」
「いえいえ、お幸せに!」

 そう言うと種島さんは満足げに戻っていった、お幸せにって何か照れるな。
 目の前で名前さんがパンケーキをキレイに切り分けているのを見詰めているとフォークに刺さったパンケーキが差し出された。

「はい士郎くん。あーん」
「あ、う、自分で食べれるから」
「いいから、早く」
「うー」

 結局僕が押し負けてしまい素直に口を開けた。僕の顔絶対赤いよ。やっぱり名前さんには勝てないや。



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