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 名字は俺のクラスメートでそこそこ可愛い、頭もいいがそれを鼻にかけることはない、しかもノリもいいから男女共に人気がある
 しかも友達もたくさんいて、俺もそのうちの一人に入っていると思う
 その名字が今俺の背中に引っ付いています、否、正確には俺におんぶさせていると言った方が正しいな

 昼休み目の前まで来ていきなり、本やんしゃがんで、なんて言われたもんだから素直にしゃがんだら俺は後ろから抱きしめられていた、え、なんで
 そりゃあびっくりもしますよ、女の子に、ましては自分が密かに恋心を寄せている名字に抱きしめられているんだから
 俺があたふたしていると後ろから名字の笑い声が聞こえて変に緊張しちゃったりした
 おんぶしてー、そのままの流れで何故か名字の命令通りおんぶする形になって現在に至る

「見て見て! 本やんと合体した!」
「なにそれうける!」
「あははっ!」

 無駄に高身長な俺に名字がくっついていたら目立つのは当たり前で、あっという間に見せ物状態になってしまった
 山ちゃんが面白がって写メを取り始めたもんだからクラスの奴らも俺たちを携帯に納めていく

「本やん、屋上行こうよ」

 耳元で囁かれた言葉に俺の体温が上がる、名字の顔は見えないがきっと笑顔なんだろうな
 ほらダッシュだ本やん、なんて言われたら走らざるをえない、名字をおんぶしたままクラスメートを押しのけ屋上まで走った
 あ、逃げ出した、と途中まではクラスの奴らが追いかけてきたがそこは野球部、人一人のハンデがあっても一般人には負けない
 俺が名字に好意を寄せていると知っている山ちゃんは気を利かせてくれたのか追いかけてはこなかった

「本やん足早いねー」
「これでも野球部ですから!」

 おー、背中の名字が拍手をするが降りる気はまったくないらしくがっちりしがみついている
 さっきから思ってたけど胸当たってます、むにむにと俺の背中に当たるそれは名字が動く度に形を変えていく
 ってなに考えてるんだ俺は、邪念を振り払い名字をおぶって適当な場所に座れば、名字が俺を抱きしめる形になってしまった

「名字、離れる気は?」
「ない!」
「さいですか……」
「本やんの背中あったかい」

 名字は俺の気も知らないで腕に力を込めた、俺だって男だ、好きな子に抱きしめられてばかりでは収まりがつかない

「名字、」
「なに本や……うあっ」

 名字の腕を掴んで無理やり俺と向き合うように座らせる、どうだ、一矢報いてやったぞ
 目を見開いた名字の顔が赤くなっているがわかる、それに釣られて俺の顔も熱くなっていく、これはやばい

「もう、あのままだったら顔赤いのバレなかったのに……、本やんのバカ」
「名字、俺、名字のこと……」


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