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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「知り合いに芸能事務所の社長がいるのですが人手不足らしく若い力が欲しいそうです。晴矢頼みましたよ」

 なぜか白羽の矢が俺に立ってしまい俺は渋々、父さんが書いてくれた地図にある芸能事務所とやらに向かっていた。
 こんなことはヒロトにやらせればいいのにあいつは今舞台女優にお熱らしい、消去法で俺になったとのこと。はあとため息をつく。
 本当だったら今頃は今日発売の雑誌についている名字名前のグラビアを眺めていたはずなのに。
 道中迷子になってたお姉さんの言う事務所とやらが俺の目的地と同じ場所だったのでついでに連れて行ってやった。

「見ず知らずなのにありがとうございます」
「いや、俺の目的地もここだったんで」
「あらあら。じゃあ新しいプロデューサーさんってあなただったのねぇ」
「プロ……?」

 首を傾げながらもお姉さんこと三浦さんと中に入れば事務員さんに社長室まで案内された。社長室には全身真っ黒のおっさんが座っていて、おお君が吉良くんの所のか、と意気揚々に何やらたくさん説明された。
 話を掻い摘むとこのおっさんは社長で、今いるプロデューサーだけではアイドルたちをプロデュース出来ないので旧知の仲である父さんに頼んだらしい。

「社長、連れてきました」
「おお音無くん、ご苦労様。南雲くん、君がプロデュースするアイドルの名字名前くんだ」
「名字です。よろしく」
「えっ、名字名前ってあの、いや、えっ、うええぇっ!?」

 目の前に現れたのは無表情だが可愛い顔をした女で、その顔やスタイルはまさに俺が密かにファンである名字名前そのものだった。つか何か食ってるし。

 とりあえずあのまま社長室に居座るのも悪いと思いレッスン室なる所へと移動したのはいいが緊張して何を話していいのか分からねえ。
 しかしその緊張も横でバリバリという間の抜けた音が響いてどこかへ吹き飛んでしまった。

「今度は煎餅かよ」
「南部せんべい」
「そういうことじゃねーから。何かテレビや雑誌で観るのと全然違うのな」

 俺の言葉にぴくりと反応した名前、煎餅を食べる手がぴたりと止まった。何かまずいこと言ったのか。

「幻滅した?」
「いや、そうじゃなくて、なんか新鮮な感じがしたっつーか、」

 これはこれで好きだわ。照れくさくてもこれからは一緒に頑張っていくのだから包み隠さず素直に思ったことを口にしてみれば名前は頬を赤らめてありがとうと呟いた。



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