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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

▽番になりたいβの真波山岳(pdl/R15)
・オメガバース設定(自分設定あり)
・ちょい病み


 この世界には男と女だけでは括りきれない三種類の性差がある。α性、β性、Ω性の三種類であり、これは生まれてから死ぬまで纏わりつく。
 α(アルファ)性は生まれつきエリートで、リーダシップ・カリスマ性を持ち合わせている。故に人口は少なく、男女関係なく社会的地位や職業的地位の高い者が多い。
 β(ベータ)性は最も人口が多く、身体特徴・行動等のほとんどが一般の人間と変わらない。
 Ω(オメガ)性はαよりも人口が少なく、男女問わず体格がやや小さいのが特徴である。社会的地位は低く、差別的な目で見る人もいる。

「――しかし、その希少性から絶滅危惧種のように扱う人たちもいて……」

 そんな、中学でも嫌と言うほど勉強した三種類の性についての授業。
 自分たちの今後を分ける重要な情報なので殆どの生徒は真面目に聞いている。不真面目に授業を受けているのは俺くらいだろう。

「この三つの性は社会的地位に繋がる為、十六歳の誕生日を迎えると検査をしてどの性か判明させておく義務がある」

 先生の説明は耳から耳へと抜けていくだけ。全部知っている。
 授業を受けなくとも俺は誰よりも理解しているから、今さら教わることがないのだ。

 つい数か月前に十六回目の誕生日を迎えた俺も、例に漏れず病院にて検査を受けた。検査と言っても機械で体をスキャンするといった煩わしい物ではなく、採血だけの簡単なもの。
 その結果はすぐに出て、俺はβ性だった。両親共にβ性だということを知っていたため、その子供である俺は高確率でβ性なのだ。
 可もなく不可もない、ただの一般人。αに成れずともΩでなければ良いという考えの人は多い。大衆思考の持ち主や、Ωを差別している人間がそうだ。
 かく言う俺もΩでなくて良かったと心底思っている。決してΩを見下している訳ではなく、Ω性の男性は睾丸や精巣がないから、Ω相手だと子供を成せないという理由でだ。
 でも、それでもβでは意味がない。駄目なんだ。αじゃなきゃ、Ωとは結ばれない。


 退屈な授業を聞き流しながら窓の外に視線を移せば雄大に聳える山々が遠くに見える。
 何時もならばあの山を登りたいとか考えるんだろうけど、今の俺にはそんな余裕はない。名前さんは今何をしているんだろうということしか頭にはない。
 今朝は寝坊してしまい名前さんに会えなかったし、今日はちょうどアレが始まる日だから、余計に心配だ。今朝の薬はちゃんと飲んだのだろうか、こっそりと彼女にメールを送ってみる。
 

『今何してますか? すごく会いたい。あと、予定だと今日からなのでちゃんと薬飲んで下さいね』

 メールを送った数十秒後、返信が来る。

『たすけて』

「先生、具合悪いので保健室行ってきます」

 教室を出てすぐに名前さんの携帯へ発信する。

『山岳……はぁ、ん、!』

 携帯電話の向こうから聞こえてくるのは苦しそうに俺を呼ぶ名前さんの声。

「今どこにいますか!?」




「んがくっ……さんがく!」
「! 名前さん」


 Ω性の人間は男でも子宮が存在し子供を身ごもることが出来る。そして三か月に一回、個人差はあるけれど大体は1週間くらい、発情期が訪れる。
 その時に発せられるフェロモンは通常の倍以上で、αβ関係なく惹きつけるのだ。
 その中でもオメガと運命で結ばれているαは番になることでそのフェロモンを無害なものに変質させることが出来るのだ。

 Ω性を、α性の人間は男女関係なく孕ませることが出来る。番になることが出来るのだ。
 βも孕ませることは可能だが、番になることは天地がひっくり返ろうと無理なのだ。


「抑制剤は?」
「はぁ……っ、ど、かに、落としちゃった、みたいで……んっ」





「αと出会わなければ、俺だけを見ていられるようにすればいいんだ」


 オメガバースに滾ってる時に書いたけど途中で飽きたやつ。
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