×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

▽神童と音楽室の幽霊(inzmGO)
 部活が終わり部室の鍵を閉めたところで教室に忘れ物をしていたことに気がついた。
 空はすっかりオレンジ色を通り越して暗くなってきたので早く取りに行ってさっさと帰ろう。

 二年生の教室と続く階段を上がっている時だった。微かにだが音が聞こえる。全校生徒が下校した静かなときじゃないと聞こえないのではないかというくらい小さい音だった。
 その音の正体が気になった俺は教室に行くことも忘れてその音を辿っていた。三階の廊下の端に行くにつれ音が少しずつ大きくなってくる、この曲はショパンのノクターンか。
 やはりというべきか音は音楽室から漏れていたようだ。防音仕様になっているはずなのにと思ったが扉が少し開いているのでここから洩れていたのだろう。
 隙間から中の様子を伺ってみれば誰かがピアノを弾いていた。まあ音が鳴っているわけだから誰かがピアノを弾いているのは当たり前といえば当たり前だが、桃色の長い髪を揺らしながら静かに指を動かす姿に見惚れていた。
 リボンの色からして三年生だろう、しかし入学してから一度も見かけた事のない先輩だった。いくら記憶をとどっても見かけた覚えすらない。

 音楽室にいた夢主は自分を幽霊だと言う。
 何を言っているんだ? と怪しんでいると南沢がやってきて「1人で何やってるんだ」「え?」「お前以外誰もいないだろ」って会話をして夢主が本当に幽霊なのだと思い込む神童。
 そこから何やかんやあって幽霊に恋をする神童の長編になる予定だった文章の一部です。
 あと夢主実は幽霊ではなく、最近転校してきたので神童が単に知らなかっただけ、南沢もグルで神童をからかっていたオチ。
<< 戻る >>