▼箱学に通っている巻島の双子と東堂(pdl) |
---|
「名前は、進路希望、何と書いたんだ?」 「私? 進学にしたよ。イギリスに留学するの」 「留学!?」 「うん。裕介は前倒しで先に向こう行っちゃったけど、私はちゃんと卒業してから行こうかなーって」 「む、待て。裕介ってまさか……」 「私の双子の兄だよ。巻島裕介」 「ま、ま、まま、ま……」 「ママ?」 「巻ちゃんの妹だとぉ!?」 「うん。双子のね」 「聞いてないぞ!」 「聞かれてないし」 名前との付き合いは入学式の日からであり、その時はまだ巻ちゃんと出会っていなかったから二人に血の繋がりがあるとは思いもよらなかった。 巻島なんて珍しい名字でもないし、かつ容姿も全然似ていないので疑いもしなかった。 巻ちゃんには申し訳ないが、その、名前はとても可愛らしい容姿をしているし、巻ちゃんに比べると随分と社交的だ。 疑えと言う方が無理がある。双子だと言うのならば尚のこと。 それに以前、名前から兄がいることを聞いていたが、イギリスで事業を起こしているとも聞いていたから。まさかもう一人兄がいて、それが日本にいて、後に俺のライバルとなるとは。 巻ちゃんも巻ちゃんで、妹がいると言っていたがまさか双子だったとは、全く聞いてないぞ。学校が違うとも言っていたので、てっきり妹は中学生かと思っていたではないか。 「この場合俺は巻ちゃんの義弟になるのか?」 「何言ってんの。そもそも私たち付き合ってすらいないからね」 |
<< 戻る >> |