▽ミステリー作家と御子柴君(野崎) |
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女子高生の売れっ子ミステリー作家。ペンネームは本名と同じ。学年クラスは野崎と同じ2−B。 自分の外見の良さを自覚した上で最大限に利用している。また、御子柴に好意を持たれているのを知っていて弄んでいる小悪魔。 ものぐさで仕事と勉学以外のことはだらしなく、仲良くなった人からは残念な美人と称されるほど。野崎の隣の部屋で一人暮らしをしており、よくご飯をせびりに行く。 「梅ちゃーん。今日も夕飯……って誰?」 「ああ、名字か。こいつは佐倉だ。ベタを手伝ってもらっている」 「(野崎君と同じクラスの美人!!) あの、私佐倉千代です!」 女の千代ですら赤面するような笑みを浮かべる名前。 「(野崎君のこと梅ちゃんって呼んでたし野崎君とどういう関係!?)」 「見た目も良いし一度演劇出したいんだ」 「この前出したマミコのライバル悪女キャラのモデルだ」 「あの美人キャラか……確かに雰囲気にてる」 「一人暮らしするの親にすっごい反対されてさぁ」 「そりゃあお前の一人暮らしとか餓死する未来しか見えないもんな」 ・海の話 案の定ナンパされている名前と出て行ってナンパ退治しようかどうか迷いつつも彼女を 御子柴。 「野崎くん野崎くん! 名前がナンパされてるよ! あれなら参考になるんじゃない?」 「!」 「ねぇねぇ今暇?」 「俺達と一緒に遊ぼうよ〜」 「……ナンパで出会った男女数名が夏の思い出作りにと若者の間で人気のペンションへお泊りに行ったは良いものの突然の嵐で携帯電話は圏外となり連絡手段は絶たれ陸の孤島となってしまう。気が付けば一人の女子が忽然と姿を消してしまい、いくら探しても見つからない。それから一人、また一人と姿を消してきついに……」 「え……?」 「な、何?」 「その時、貴方の肩に誰かの手が……!」 「ひっ」 「っ!」 「『みーつけた』」 「ギャーッ!!」 演劇部顔負けの名前の演技にナンパ男たちは顔面蒼白で悲鳴を上げる。 野崎や千代も悲鳴を上げそうになったが顔を蒼くするだけで何とか留まった。影から様子を窺っていた御子柴に至っては声にならない悲鳴を上げている。 「……っていう展開になるなら遊んであげてもいいよ」 「け、結構ですぅ〜!!」 それまでの話が無ければ相手をときどきさせる甘い笑みん浮かべるが、今は別の意味で心拍数が急上昇だ。 足場の悪い砂地も何のその、逃げ足だけは速かった。何事かと周りがざわつくが名前は素知らぬ顔。 悲鳴を上げながら逃げていく男たち 「こっちもダメだった! ダメダメだよ!」 おおよそナンパされた美人の取る行動とはかけ離れすぎていて千代は思わずツッコミを入れてしまう。少女漫画のネタにはなりそうにもない。 ちらりと野崎を見上げれば 「流石は人気ミステリー作家……」 「(驚くポイントが違うよ野崎くん!)」 「やっぱ名字の演技力は光るものがあるな……」 「(堀先輩まで!?)」 御子柴の後ろから抱き付く名前。背中にやわらかい物が当たるのは当然のことで。 「あ、あああ当たってる当たってる!」 「うん、わざと」 「うわー! 助けてくれー!!」 御子柴が助けを求めるも虚しく、堀は舞台でのホラー演出を熟考しており、千代は顔を赤くし硬直してしまい、野崎に至ってはここぞと言わんばかりに一連の流れをスケッチしている。 他の助けを求めようにも鹿島は女子部員と共に海の家、瀬尾は若松を競泳に誘っていたため誰も周りに味方は居らず。世の中とは非情である。 御子柴に残された選択肢はただひたすらに耐えることのみ。 |
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