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▽設楽の恋人(tmGS3×コクリコ坂)
・作中に出てくるお菓子などの元ネタ
「大平原」は北海道六花亭さんのマドレーヌで、1963年に発売されたそうです、コクリコ坂からの時代にドンピシャだぜ!

 バウムクーヘンのモデルは東京カトレアさん
 ※ちなみに、バウムクーヘンは1960年代までピラミッドケーキと呼ばれていたそうです




 母は私を産んでまもなく病死、父は男で一つで私を育ててくれたから感謝しても仕切れない
 父の職業は町医者で腕が立つと評判もいい、娘の贔屓目なしでも誠実で人の良さや


 設楽家はこのあたりでは有数の富豪で、私が生まれる前からそこの主治医を勤めていたのもあってか妻を亡くし生まれたばかりの私を抱えての仕事でも快く受け入れてくれたそう。
 特に一年前に聖司さんが生まれたこともあってか子育ての大変さを知っている奥様の計らいで父の仕事中私は設楽家へ預けられ育てて貰っていた
 計らいというより奥様が元々娘が欲しがっていたようで、あわよくば聖司さんと結婚させて本物の娘にしようとしているのだと聞いたのはつい最近のこと。まぁ、その作戦はまんまと成功に向かっているのだけど。
 とにかく、私は生まれたときから父が仕事のときは設楽家で、聖司さんと一緒に育ってきた。
 だから聖司さんの隣にいるのが当たり前だったし、これからもそう。



 放課後はこうして音楽室を借りて二人だけの演奏会、聖司さんの家で

「聖司さんはカルチェラタンの取り壊しに反対?」

「まあ一応。確か紺野はあそこで活動してるって言ってたしな」
「ふーん、なるほど……」
「何だよ……?」
「聖司さんって友達思いなんですね」
「! う、うるさい」
「うふふっ」


「今日の昼飯はどこで取る予定だ?」
「? いつも通り名前と音楽室だが」
「そうか。ならば今日は食堂の外で食べるといい」

 面白いことが起きるぞと、俺が理由を聞く前に水沼はそう言い残しそそくさと自分の席へと戻っていった。
 昼休みに食堂の外へ行って一体どんな面白いことが起きるというんだ、


「そうだ名前、父さん明後日から日地方で学会があって帰るのは次の日になるよ」
「うん分かった」

「それでね、」

「……名前、」
「はい!……海ちゃん風間さん待って下さい!」
「今俺の家の車を回すから乗っていけ。ちゃんと決着を付けてこいよ風間」
「!……設楽、恩に着る」

 こうして歩くのも久しぶりだな


「卒業したらパリに留学する」
「うん」
「これはもう決まっていることで日本にはそう頻繁に帰れない、……いや、たぶんほとんど帰れない」

「つまりお前とは会えなくなる」


「だから、俺が18になったら、籍を入れないか」
「!?」

「そしてお前が卒業したら、お前もパリに来い」


「はい!」

「必ず貴方の下へ行きます」
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