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▽石の世界と蜃気楼の妖怪(羽京/氷月/東方→dcst)
東方→dcst。

 妖怪主。羽京・氷月寄り。

タイトル:eiπ + 1 = 0オイラーの等式




・呼ばれて飛び出て妖怪です

 その話が出てきたのは硫酸湖を見つけその硫酸を採りに行くためのガスマスクを作っていた夜半。真っ暗な闇の中に炉の灯りだけが周囲を照らす中、ふとカセキが呟いたのだ。暦上は十月上旬だというのに妙に蒸し暑い、こんな夜には怪異が出ると。

「怪異?」

 千空が聞き返すとそんなことも知らないのかと、作業を遠目で見守っていた金狼と銀狼も話に加わってくる。

「昔からの村の教えでな。夜中に漁へ出ると他に誰もいないはずの沖に炎の怪異が現れるから夜の海には気をつけろって」
「夜に一人で出歩いてるとそのお化け炎が出て連れて行かれるんだよぅ!」
「炎の怪異ねぇ……」詰まらなそうに千空が呟く。
「実際夜の警備をしていた時に海上に揺らめく炎を見たという者もいる」

 金狼の最後の言葉に露骨に怯えるながら周りを警戒し始めた銀狼を見て千空は鼻で笑う。

「そりゃあただの蜃気楼だ。怪異でも何でもねぇ」
「しんきろう?」

 揃って首をかしげる石神村勢に、作業の手は止めずに千空は詳しい説明を始めた。

 密度の異なる大気の中で光が屈折し本来ならば見えるはずのない地上や海上の物体が浮き上がって見えたり逆さになって見える現象のことである。大まかに分けて三つに分類される。
 イギリスのビンスが報告したため“ビンスの現象”とも呼ばれる海面温度の低下により下方の空気密度が高まり元となる物体の上方に蜃気楼が出現する上位蜃気楼。ヨーロッパなどではファタ・モルガーナとも呼ばれている。
 フランスの数学者モンジュに記述され“モンジュの現象”とも呼ばれるアスファルトや砂地などの熱い地面や海面等に接している空気が熱せられ下方の空気密度が低くなり物体の下方に出現する下位蜃気楼。ビルなどが浮いて見える浮島現象や逃げ水現象などもこのタイプである。
 側方屈折蜃気楼とも呼ばれ水平方向に光が異常屈折するタイプのもので垂直な崖や壁が日差しで熱せられた場合や海岸の浅瀬と深みで水温に差が生じた場合など、物体の側方に出現する鏡映蜃気楼。
 蜃気楼は主にこの三つに分けられ、石神村の教えにある海上に浮かぶ炎は三つ目の鏡映蜃気楼に属する。

「……つまりだ。温度差で光が屈折して船の灯りが浮かび上がって見えるのを怪異だなんだと騒いでいただけだな」
「船の灯りが浮かび上がる……」
「夜警の奴が見たのも同じ理屈だ。その日は夏なのに妙に寒い日だったとかもしくは逆に秋なのに妙に暑い日だったとかだろ」
「確かに……妙に肌寒く悪寒がしたと言っていたがそれも怪異の仕業だと思っていたが……」

 なるほど、と金狼が顎に手を当て小さく頷く。一から説明されたものの話は半分程しか理解出来ていない。とにかく温度差によって虚像が浮かんで見えるだけだということだけが分かりゃあいいと、千空は付け加えた。

「大正時代には蜃気楼だって分かって、昭和になればその仕組みも解明された。海上の怪異……不知火はただの大気光学現象なんだよ」

 一応科学の説明ということなのだが専門分野ではないためか少し詰まらなそうに話す千空に対し、クロム達は今まで村で恐れられていたものの正体に対する驚きと関心を抱く者と今までそんなものを恐れていたのかと自嘲する者に割れた。

「やだやだ。ロマンのない科学屋さんはすぐにそうやって否定する!」

 ちょっとした科学講義が幕を閉じ、作業に再集中しようとしたタイミングでどこからともなく声が響く。この中にいる誰のものでもないそのソプラノに、さすがの千空も目を瞠る。

「うわあぁぁぁっ!!」

 銀狼の悲鳴が空気を震わせる。夕方の薄暗くなった空にぼんやりと浮かぶ少女に、その場にいた全員が注視した。
 石の世界ストーンワールドには似つかわしくない上等な衣服に光沢のあるストラップシューズ。

「あっ! 思わず出てきちゃった! やばっ!」

 異質なその少女は宙に浮いたままくるりと一回りして笑った。

「はじめまして! 不知火です!」




「私は妖怪だからね! 妖怪は人が信じてくれて初めて存在するの」


「石神村って漁村でしょ? 彼らが……先祖代々から“不知火”の存在を信じてくれていたから私はこうしてここにいられるの」

「いやぁ〜大変だったよー。地球上の人間が全員石化しちゃって便利道具が軒並み幻想入りで霖之助や河童たちが大興奮! 勿論私も見知った文明の利器に興奮したんだけどね。とにかく幻想郷は大わらわ! それで紫さんが外の世界を見に行ったら全員石になってて更にびっくり! でもまぁ幻想郷には関係ないことだからそのままでいいだろうってことでいつも通りの日常を送っていたら私の存在を信じてくれる人たちが現れて、それでこっちの世界に出現! っていう感じで現在に至る〜みたいな?」

 それにしてもちちらの世界の人達は私のことを見て恐ろしがってくれるから本当に怪異冥利に尽きるよ、とけらけら笑う名前を他所に千空は彼女の言葉を脳内で整理していた。

「いややっぱありえねー。何のために科学があると思ってんだ……」
「君たちの時代にもまだ科学だけでは証明できないことは沢山あったでしょう?」
「それをいつか証明するために俺たち科学屋がいるんだろーが」




・幻を見せる程度の能力

「私は蜃気楼だからね。幻を見せることは可能だよ」
「でもそんな吹いたら消えちゃうような一時の幻よりも、どんなに時間がかかっても実物を見せてあげる方がよっぽど素晴らしいんじゃないかな」
「はっ。それを怪異のテメーが言うのか」
「別に私は人間を取って食うような怪異じゃないのよ。人間みんなが信じてくれるから私は生まれ変わることができたの」


・妖怪の過去

「それにしても名前ちゃんって日本の怪異なのに英語もできんのね」
「まぁ生前は学校の先生だったからね〜」
「……は?」

 それまで黙って聞いていた千空が低い声を出して、怪訝な顔で名前を見る。

「“生前”って何のことだ……?」

 千空の言葉に同意するようにその場にいた復活組は一斉に名前を見る。無から生まれた妖怪なのに“生前”が存在するなどと、おかしな話である。

「……そ、そそ、そんなこと言ってませんが!? なに、何か問題でも?」
「誤魔化すの下手糞すぎんだろ……」

「はぁ……純粋な人間としての最期の記憶は二千二十年の一月四日」

 新年を迎え初詣で大吉を引いて気分も上々で迎えた仕事初めの日。駅まで向かう道中で路面凍結でスリップした車に突っ込まれて即死。次に意識を取り戻したら海上で浮いていたのだ。




・ストーンウォーズ終盤

「えっ。まさか、このままだと羽京死んじゃう?」

 地面に濡らす血は止まる気配がなく、このまま放置していれば出血性ショックで死んでしまうことは名前にでも解った。けれども千空達は科学武器を作るため、それ以外は司と氷月を止めるために必死に戦っている。
 この場で羽京の手当てを出来るのは名前しかいない。

「あーもう!」

 清潔な布と消毒液、そして真新しい包帯が入った籠を蜃気楼で映しだすとそれを地面に置き彼の服を捲る。
 達人レベルの技術力による一突きだった故か意外にも傷口は綺麗なものであった。それでも砂利や土が入っていないとは限らないのでひとまずは傷口の消毒だと、消毒液の蓋を開け羽京の傷口の真上でボトルを逆さに構えた。
 じゃばじゃばと滝のように消毒液が傷口に当たり、当然そのほとんどは腹から滑り落ちて地面に染み込んでいく。

「いたたた、痛い痛い!」
「消毒液! 染みるけど我慢して!」
「いや全部かける必要なかったよね!?」
「傷口に障るから黙って!」
「えぇ……」

 理不尽な言葉と共に羽京の傷口に布が乗せられる。布越しに傷口を圧迫して止血しようとしているのだと分かった。動いて余計な血を失っては元も子もなく、かつ今の状態の自分が戦力足り得ないことは理解しているので処置の邪魔にならないよう一先ず口を噤む。
 左目は腫れて今は使い物にならず何とか開いた右目の霞む視界の端によく見知った消毒液の空容器が見える。このストーンワールドになぜ消毒液が容器ごとあるのか等の疑問を抱く前に、彼は自身の耳が捉えた声に目を見張った。

「止まれ……お願い、止まって……」

 この距離でも羽京の耳でなければ捉えることが出来ないくらい、本当に小さな祈りだった。
 筋肉とは程遠い生っ白い細腕にありったけの力を込めている少女に、羽京は眉尻を下げると静かに瞼を閉じた。

「……もう止血できてるよ」
「えっ。……ほ、本当だ」

 よかったと胸を撫で下ろす彼女を横目に、死人を出さないという条件を出した本人が休んでいる場合ではないと、羽京は上体を起こしぼんやりとする視界に戦況を収める。
 一方で名前は自分の古の記憶頼りの処置が上手くいったことに対して上機嫌になり、戦況とは似つかわしくない笑みを浮かべて羽京の腹に包帯を巻いている。
 その上空を一基の紙飛行機が飛んでいくのを羽京は見た。先端が黄色く染まったそれは羽京たちの後方、奇跡の洞窟の方向から司らの方へ、風に乗って優雅に飛んでいく。その場にいた誰もが争いを止めそれを見上げていた。
 石化前の世界ならば当たり前にあったであろう風景もこの石の世界ストーンワールドでは異質でしかなく、しかしその異質さこそが千空達の科学の粋を乗せていることを物語っていた。
 背後に人の気配を捉え、羽京は名前に支えられながら立ち上がる。

「俺たちが必死に戦ってるってのに羽京ちゃんは女の子に介抱してもらってたなんて羨ましいね〜」
「いや僕は死にかけてたんだけど」

 言葉とは裏腹に二人の表情は明るい。こつん、と紙飛行機が木にぶつかると同時に一帯を吹き飛ばす勢いの爆発を起こす。たった一基の紙飛行機で戦況はひっくり返った。




・司をコールドスリープする話1

「名前。テメー蜃気楼の怪異なんだろ。空気の密度を操ることはできるのか」
「……余裕で可能」

 空気は温度が高ければ膨張しそれに比例し体積が大きくなる。体積が大きくなると密度は逆に小さくなる。温度が低ければ空気は収縮し体積が小さくなり、密度は高くなる。
 蜃気楼は温度差により生じる密度の差によって光を屈折し本来ならば映るはずのないものを映し出すという現象だ。名前の“蜃気楼を見せる程度の能力”も基本的には空気の密度を操り本来ならば映らないものを映して見せるという能力だ。
 その温度が上がると密度が小さくなるという原理を逆に利用してやろうと考えているのだと、名前には理解できた。
 今持ち得る科学力では理論的にコールドスリープが出来る程瞬間的に冷凍することは不可能だ。ならば名前が司を含む空気の密度を瞬間的に小さくし瞬間冷凍すれば助かる可能性は大きくなる。冷凍庫はその後の保存に使うので無駄にはならない。
 こんな奇跡に頼るような真似はしたくないが蜃気楼も立派な科学であり名前も科学王国の一員だ。何より人の命には代えられない。

「……今計算した。コールドスリープが可能な温度はきっかりマイナス三十度。密度は1.4534576kg/m3だ」
「オッケー。温度を気にして密度いじったことないから何回か練習させて」
「おー。マイナス計れる温度計だ。使え」
「ありがとー」

 千空達が縫合手術をしている間に名前は密度調整の練習に入る。千空達がいる滝で出来た円形の崖の横穴から、滝を挟んで反対側の崖の上。
 司の入る大きさの直方体の冷凍庫をイメージして。その直方体の密度だけを瞬時に高める。すんと変わった空気に温度計を確認すればきっかりマイナス三十度。しかし密度は目標値に対して寸分の誤差。もう一度だ。空気を分散させ、再び直方体の密度を変化させる。

「……よし!」

 今度はきっかり百万分の一の誤差もなく目標値へ到達。

「名前は何してるんだよ?」
「つーか寒っ! 凍え死ぬレベルでさみー!」
「千空ちゃんと司ちゃんと三人で話してたことと関係ある感じ、だね」
「あ、みんないらっしゃい。ここら一体零下三十度だから気を付けてね」

 クロムが近づくと一気に体表の汗は凍り付き手足がかじかみ始めた。慌てて後ろに退くと先ほどまでの暖かい空気に包まれる。眉間にしわを寄せ名前の周りの空気をじっくり観察すれば微妙に奥の景色が歪んでいることに気づいた。
 事前にコールドスリープさせるということを聞いていたゲンはクロムの寒いという言葉だけで名前が何をしているのか、そして千空が何をさせようとしているのかが容易に想像できた。
 名前の言葉にスイカが指先を恐る恐る近づける彼女の言う通りとある境界から気温が一気に下がっていることに気づいた。

「ここからそっちは冷たいんだよ!?」
「あー、名前ちゃんってこんなことも出来るんだね……」

 下手すれば全員一斉に冷凍することも可能だったのでは、という考えたくない考えが頭を過ってしまったのを、ゲンは頭を振って吹き飛ばす。
 クロムの声に気づいた羽京やニッキーを始めとする司帝国サイドだった人間も何事かと集まってきては名前の周りを囲んで腕を突き出しては寒い寒いと騒ぎ立てた。

「名前はこんなことも出来るんだな……科学じゃ分かんねぇことばっかだな」
「ふふふっ。わたしがやってるのは空気の密度を変えるだけだから科学が発達すればいずれ人間にも出来るようになるよ」

 大正時代には解明された現象であり、現に気圧を意図的に変化させる機械は石化前の世界には当たり前に存在していた。何より人工的に蜃気楼を作り出すことも容易に出来ていたのだ。
 怪異の入る隙間がない程に、人類は科学を発展させていた。

「ちょっと待ちなよ! 話が見えないんだけど、何でこんなこと出来るんだい!」
「そもそも彼女、何者?」

 立て込んでいたといはいえ、直接手当てを受けた羽京でさえ彼女の名前すら知らないのだという事実に気づいた。
 改めて見てみればストーンワールドには似つかわしくない細やかな装飾の施された小綺麗で洒落た衣服に気圧を操るという人智を超えた能力。

「そういえば司ちゃんサイドは知らないんだっけか」
「わたし蜃気楼の怪異だから空気の密度を操れるのよ」
「へー、蜃気楼の怪異なんだね……ってエエェェッ!?」

 その場にいた司帝国サイドだった人間は漏れなく目を丸くし名前を見つめる。そうそうこの反応が欲しかったのだ、とどこぞのロマンの欠片もない解説から入った科学屋とは違って良い反応をしてくれる人達に名前は破顔する。

「いや〜。改めまして、蜃気楼の怪異こと不知火の名字名前でーす! 今後ともよろしくー!」

 満面の笑みを浮かべた名前はその場でふわりと浮いた。



・司をコールドスリープする話2

 司帝国の皇帝と、科学王国の長、そして科学王国の一員とは名ばかりのこの世界の理から外れたイレギュラーな存在。


「司。もし死んじゃったら三途の川の水先案内人に連れていかれる前にわたしが助けに行くから安心してね」
「うん。それは安心していいのかな」
「そしたら私の故郷を案内してあげるよ。きっと気に入るよ」
「おー。そいつぁ俺も気になるところだな」
「千空もコハクも大樹も杠も未来ちゃんもみんなでくればいいのよ。科学の発展は望めないけどのどかで刺激には事欠かないいい場所よ」

「科学の発展が望めねーって時点で行く気失せたわ」
「はは、千空らしいな」




・地図作り

「名前ちゃんに飛んで見てきてもらった方が手っ取り早いんじゃない?」
「駄目よ。妖怪に頼っていたら人類は停滞するわ」

「今を生きている人間が頑張らなきゃ」



・氷月とお話

「君はいつになったらちゃんとするんです」
「いやいや。妖怪がちゃんとしてたらダメでしょ」
「……」
「妖怪がちゃんとしてなくていいように人間がちゃんとする! それがちゃんとしている世界の在り方でしょ?」



・妖怪の本音

「ぶっちゃけ人類がどうなろうと私的にはどうでもいいって言いうか……まぁ人類が絶滅しても私は幻想郷で生きていけるからね〜。あ、一応人間の味方ではあるんだけどね。運命を共にしてやろうとかそういうつもりはないってだけ! あははは〜!」

 いかに元が人間であろうと今の名前はどこまでも妖怪なのだ。



・氷月とほむらのお食事係

「お食事持ってきたよ〜!」
「……うるさい」
「今日のご飯はフランソワ特製のシュトーレンだよ!」


「ほむらはどういう字を書くの? 火部の焔?」
「……ひらがな」
「可愛い名前ね! きっと燃え盛る炎のように熱い思いを持っているのねっ」
「……」


「ひょうがの字はひらがな? それとも漢字?」
「……」
「……」
「……氷の月と書きます」

 にこにこと笑みを浮かべたまま彼を見つめるので、これは教えるまでここにいるつもりだろうと観念して答えた。

「綺麗な名前ね。氷のように冷たいけれど美しく輝く月よ、きっと」
「……」



・妖怪という存在につあて

「妖怪はね、退治されたって殺されたって本当の意味では死なないのよ」

「人間に忘れ去られた時に妖怪は本当の意味で死ぬのよ。文字通り消えてなくなるの」

 そうして彼女は幻想郷へと誘われた。

「それは人間も一緒。その人が生きていたことを、たまにでいいから思い出してあげてね。その人が本当に消えてしまわないように」




・対アメリカチーム1。マシンガン全避けのルナシューター

「これでもルナシューターだからね! 避け全一!」



・対アメリカチーム2。Dr.大樹ならぬDr.名前

『Dr.名前』

 その点名前ならば蜃気楼の怪異ということである程度の物理攻撃も無効化する故に狙われても命の危機はほぼない。

「あ、う……ハ、ハイ。ど、ドクター名前先生デス」

「ドクターに先生を付けるな!」
「アホ丸出し……」
「っていうか演技下手すぎる……!」

 この妖怪、致命的に演技力がないのである。




・全人類二度目の石化

「名前なら石化しないだろ!?」
「それは無理かな。全員が石化しちゃったら私を信じてくれるがいなくなるわけだから。私はめでたく幻想入り〜って感じに消える」
「そんな!」
「これは人間君たちの戦いよ。科学で戦うのなら非科学的存在妖怪に頼っちゃ駄目」
「正確には蜃気楼テメーも科学の一部だろーが」
「うーん、小賢しい……これだから科学屋は」
「お前、元数学教師の理系だろ」
「あっはははは〜! こりゃあ一本取られちゃったな〜!」

「千空。やっぱり君は面白いね! また会おう!」



・それから7年後。スイカの尽力により千空復活

「スイカは頑張ってたよ」
「……どうせ見てたんだろ」
「うん。スイカはわたしを信じてくれているからね。でもやっぱり人類の未来は人類が取り戻さなきゃだからね!」
「そりゃあそうだ」
「それに生徒の成長を見守るのが先生の役目でしょ?」
「根っからの教員体質って奴だな」



・SAIと意気投合しちゃう

「どんなゲームも作れちゃうの?」
「勿論。このコンピューターだと限りがあるけど……それでもある程度なら」
「弾幕シューティング作れる?」
「弾幕シューティング……いいね。怒首領蜂とかよくやってたよ」
「そうなんだ〜。私怒首領蜂は世代じゃなくてやったことないな〜」
「横スクロールと縦スクロール、どっちがいい?」
「縦スクロール! あ、弾幕は美しくそれでいて意味のあるものにしてね」
「美しくて意味のある弾幕……東方project?」
「え……」
「……どこかで見たことあると思ったら君、名字名前にそっくりだ!」
「ええぇーーー!?」
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